もち合いの上放れ期待で上昇トレンドの発生が視野に

年始に能登半島地震が発生したことから経済への影響などが警戒され、大発会の1月4日は、日経平均が一時770円安となるなど、25日移動平均線を下回って緩やかな上昇を続ける75日移動平均線に接近する場面がありました。しかし、終値では25日移動平均線を上回ると、翌営業日には反発して安心感が広がりました。

また、3連休明けの日経平均は窓をあけて5日移動平均線を上回って始まると、上値が重たく伸び悩みましたが、ついに2023年7月3日につけた高値を終値で上回り、33年10ヶ月ぶりの株価水準をつける結果となりました。

このように、およそ半年も上回ることができなかった高値を上回って終えていることから、もち合いの上放れが視野に入り、株価水準の切り上げが期待されるところです。そのためには、いくつかの条件を達成する必要があります。

1つは、上向きの5日移動平均線上を維持することです。5日移動平均線上を維持することによって、5日移動平均線の上昇が続くため短期の上昇トレンドが継続することになります。また、25日移動平均線や75日移動平均線も5日移動平均線の後を追って上昇することになり、上放れの可能性が高まると考えられるためです。

そして、もう1つの条件がモメンタムの上昇です。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※ 移動平均線は5日、75日、200日を表示

モメンタムの上昇が高値追いのカギ

2023年来高値を更新した1月9日のモメンタムを見ますと、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が低下して終えているのが分かります。2本線ともに上昇と下落の勢いの判断の割れ目となる0ラインを上回っているものの、0ラインに接近しており、上昇の勢いが低下している状態と考えられます。

そのため、2本線が上向きに変化するかがもち合いを上放れる条件の1つと言うことになります。仮にモメンタムとシグナルの両方が、0ライン上で上向きに変化して上昇するようですと、もち合いの上放れから上昇トレンドが発生して株価の上値追いが視野に入ります。

その反面、モメンタムが上向きに変化しても、上昇が限定的だったり、下向きに変化して0ラインを下回ったりするようですと、株価の上昇が一服するとともに下落の勢いが強まって、反落することが考えられますので注意が必要です。

特に、株価が上放れた場合でも、モメンタムが水準を切り上げることができないようですと、チャート上に示したように、「逆行現象」が発生して株価が天井をつけることが考えられます。そのため、高値掴みに注意するとともに、売りそびれることが無いように注意したいところです。