先週の上海総合指数と深セン総合指数は大幅に続落となりました。先週お伝えしたように6月1日(土)に発表された5月の中国公式製造業景況指数は予想に反して4月の50.6から50.8へと小幅改善したものの、6月3日(月)にHSBCが発表した5月の中国製造業景況感指数の確報値は49.2と、速報値の49.6よりも低い数字となったことから、改めて中国経済のスローダウンが認識されました。その後は特に大きなニュースは出ていないものの、6月7日(金)は、上海証券取引市場と深セン証券取引市場が6月10日(月)から12日(水)まで端午節の祝日で休場となること(※)からのリスク回避の売りや、6月9日(日)に発表される中国の5月の経済統計悪化懸念、日本株を初めとしたアジア株が急落したことなどを受けて大幅続落となりました。

※ちなみに香港証券取引市場は6月12日(水)のみ休場となります。

そして6月9日(日)に発表された中国の5月の経済統計は、全般的には予想を若干下回る結果となりました。まず、鉱工業生産は前年同月比9.2%となり、4月の9.3%増、市場予想の9.4%増を共に下回りました。次に1~5月の都市部固定資産投資は20.4%増で、1~4月の20.6%増、市場予想の20.5%増を、こちらも共に下回りました。通貨供給量(マネーサプライ)の尺度となるM2も5月末時点で15.8%増となり、4月末時点の16.1%増、市場予想の15.9%増と共に下回っています。一方、小売売上高は12.9%増と、市場予想通りで、4月の12.8%増を上回りました。また、消費者物価指数(CPI)は2.1%増となり、事前予想の2.5%増、4月の2.4%増を共に下回りました。CPIが弱含んでいることは、足もとの中国経済のスローダウンを意味するものの、金融緩和や景気刺激策が可能となる余地が増えるために中長期的にはプラスとなります。

一方、先週は香港ハンセン指数も同様に大幅続落となりました。ただ、香港ハンセン指数は米国での量的金融緩和政策の縮小を懸念して株価が下げている部分もありましたが、7日(金)夜に発表された米国雇用統計が量的金融緩和政策縮小を促すレベルでは無かったとして、同日の米国株は大幅続伸となっています。香港ハンセン指数は200日移動平均線を下に突き抜けましたが、ここで反発できれば長期的には上昇トレンドが継続となります。6月7日(金)は上海総合指数と深セン総合指数が連休前だったこと(リスク回避の動きが一時的に高まりやすかったこと)、中国の5月の経済統計が良くはなかったものの失望を誘うほどではなかったこと、米国株が反発をしていることなどから考えると、香港ハンセン指数は反発が期待できるタイミングと考えます。

コラム執筆:戸松信博