結婚を機にお金について勉強し、節約で貯金を増やし、資産形成のために株式投資をスタートしたみもじさん。仕事だけの人生に疑問を抱いたことからライフスタイルを改め2021年にFIREを達成し、現在は家族とともに幸福度の高い生活を送っています。みもじさんに節約術やポートフォリオに対する考え方、資産形成に大事な心構えなどをお聞きしました。
●みもじさんプロフィール●
40代前半の個人投資家。妻、3児と5人暮らし。現在はインデックス投資(投資信託)を軸にETF、株主優待銘柄、暗号資産を運用している。X(旧Twitter)のフォロワーは5万人を超える(2023年11月現在)。2023年6月に著書『貯金ゼロの元浪費家・3児の父が子育てしながら成功できた しあわせFIRE』(KADOKAWA)を出版。
倹約家の妻の影響で浪費癖を改める
――以前は浪費家だったそうですが、株式投資を始めた経緯を教えてください。
興味本位で将来的に必要なお金が気になり、「人生の節目毎にかかる費用の目安」を調べたことがありました。そのときに将来のためにお金を準備しておく必要性を感じたため、節約を始めました。そもそも貯金とは無縁でしたので、節約することしかできなかったのです。奥さんのお金の使い方が上手だったため、彼女からお金の使い方を学び、コツコツ貯金を増やしていきました。
貯金と並行して、独学でお金について勉強しました。お金に関する書籍を読むと資産運用の重要性が書かれている。そこで、「投資をした方がお金を増やせるのかな」と思い、余剰資金が十分に貯まった段階で株式投資を始めました。
「自分は大丈夫」という過信による失敗
――最初はどのような銘柄に投資されたのでしょうか。
株式投資を始めた頃は、優待品が魅力的な日本株の個別銘柄に投資しました。ただ、長期間にわたって特定の企業に投資するのは難しいと感じ、インデックス投資にシフトしました。現在は、インデックスファンドを中心に積立投資を続けながら、日本株、ETF、暗号資産を少し運用しています。
――投資対象を選ぶポイントを教えてください。
一般的に、全世界株式と米国株式に投資するインデックスファンドが有力な選択肢ではないでしょうか。その中でも私はできるだけ運用にかかる費用が低く抑えられる低コストの商品を選ぶようにしています。
――失敗した経験があれば教えてください。
個別株に投資していた頃、保有銘柄の株価が下がった時にさらに買い付ける、いわゆる“ナンピン買い”をしてしまいました。結局「これ以上買えない」という状況まで陥りました。そういった経緯もあって、保有銘柄の中には含み損になっているものもあります。
当時、「自分だけは大丈夫」と過信して、株価が下がれば下がるほど買い増ししてしまったことが失敗の原因だと思います。常に冷静さを保つためには、投資に関する知識や過去の動向を学んでおくことが大事だという教訓を得ました。
また、このような失敗があったからこそ、インデックス投資が自分に合っていると気づきました。そのため、今振り返ると、いい経験だったと思います。
日本の個別株を選ぶポイント
――株主優待銘柄は、どのような観点で選んでいますか。
普段の買い物で使える優待品がもらえる銘柄を長期的に保有しています。例えば、子どもの部活の関係でジャージや靴などにお金がかかるので、スポーツ用品の購入に使える優待を提供している銘柄などです。
――日本の個別株はどのような基準で売買していますか。
日本株については、普段の生活で使っている商品やサービスを提供している企業30社ほどを投資候補先としてピックアップしています。それらの企業のチャートを見て、株価が下がったタイミングで株式を購入し、上がったら売却しています。
インデックス投資は毎月決まった日に定額で投資信託を自動購入するだけなので、基本的にやることがありません。そのため、時々日本株を売買して高揚感を楽しんでいますね。
円安・円高に備えたポートフォリオ作り
――節約する上でのポイントを教えていただけますか。
資産額が増えても、生活水準は維持します。私たちは、他の家庭に比べて、支出額がかなり少ないと思います。例えば、我が家は5人家族なので、誰かがお風呂に入ったらすぐに次の人が入るようにして、無駄にお湯を温めない。冬は厚着、夏は薄着で過ごし、光熱費を抑えています。また、ほとんど間食をしなくなりました。お菓子を食べないと、無駄な脂肪もつかないので、子どもたちの運動神経の発達にも良い気がします。
――節約に注力されているみもじさんですが、昨今の物価高にはどのように対処されていますか。
事前に物価高に対処できるポートフォリオを築いておくことが大事です。例えば最近の物価高の背景には円安が影響していますが、過去に円安だった時の動向を知っていた人は事前に円安になることを想定し、対処していたでしょう。
2022年初から米国の長期金利が上昇傾向となりました。当時、日銀は金融緩和を継続する方針を出していました。その時点で、日米の金利差が拡大し、円安が進行することを予想できていた人は、日本円を売っていたと思います。そのようにして、円安の状況下で資産を拡大できるポートフォリオにしていたでしょう。
今度どうなるかを見据えて、保有している現金を外貨に換えるなどしてポートフォリオを組むことが大切だと思います。
お金に対する先入観を捨てて仕組みを知る
――お金については、どのように勉強されたのでしょうか。
1日の中で確保できるスキマ時間を使って資産形成に関する書籍やブログを読んで勉強しました。お金に関する考え方は、作家の本田健さんの書籍から大きな影響を受けました。
――投資情報やお金に関する知識はどこで入手していますか?
X(旧Twitter)やVoicy(音声配信プラットフォーム)を活用しています。Voicyでは、ライオン兄さん(山口貴大さん)や大河内薫さん、ゆうパパさん、Joeさんの配信をよく聴いています。
――資産形成において必要なマインドを教えてください。
一部の富裕層を除いて、お金に対して不安やネガティブな感情を持っている人が多いと思います。ただ、以前の私もそうでしたが「金儲けは悪い」といったイメージを持つのではなく、お金の仕組みを知ることが大事です。知れば知るほど、お金は悪いものではないと思えるようになります。資産形成するにあたり、まずは先入観を捨てて、お金ときちんと向き合う必要があるでしょう。
格差拡大に備えるためには資産形成が必要
――節約に目覚めてから2021年12月にFIREを実現するまで、どれくらいの期間がかかりましたか。その間、苦労したことはありますか。
節約など小さなことをコツコツ積み重ねていく中で、15年ほどにわたって資産を右肩上がりに増やしていきました。例外としてコロナショック時には不安な気持ちにもなりましたが、そんな時も過去の推移を見て「株価は下がっても数年後には上がる」と思って、インデックスファンドと暗号資産に追加投資しました。
――FIREに向き・不向きはあると思いますか。
何か目標や野望がある人には合っていると思います。ただ、資産があるという理由だけで仕事を辞めてしまったら、やることがなくて暇をもてあますことになるでしょう。暇になることで仕事の大切さに気づくなど、何かしら得られるものがあれば、結果的にFIREして良かったと言えるかもしれませんが。
リタイアすることより、経済的自立を目指すことをおすすめしたいです。仕事や公的年金からの収入だけでなく、金融資産から不労所得が得られる仕組みを築けるとよいのではないでしょうか。
――最後に、これから投資を始める方々へのアドバイスをお願いします。
今まで「豊かな生活をしている人」は、会社の経営者や地主、投資家というイメージがあったかと思います。しかし、これからは「普通の生活をしている人」が、投資家になるでしょう。つまり、今後は仕事をして貯金しているだけでは普通の暮らしをするのが難しい時代になる。少子高齢化の進展に伴い、社会保障の費用は増え、増税が続くと思いますので…。そのため、現状と向き合い、将来を見据えて備える必要があるでしょう。
2024年から新しいNISA制度が始まりますが、生涯非課税限度枠である1800万円を最大限活用できる人は少ないように思います。一方で、活用できる人もいるでしょう。新しいNISA制度の普及によって、さらに格差が広がるのではないでしょうか。
将来に備えるためには資産形成が必要です。ただし、投資を始めるまでにはさまざまなステップがあるので、投資未経験者にとって投資はハードルが高いかもしれません。証券口座の開設、NISA口座の開設、投資対象の選定などを一気に実行するのではなく、1つひとつのステップを分けて取り組むと始めやすいでしょう。より多くの人たちが投資を始めると、日本人全体のお金に対する考え方が変わり、より良い社会になると思います。
――本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
※本インタビューは2023年11月17日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。