ポジション調整の米ドル売り

先週後半から急に米ドル/円の下落が目立ってきた。10月までの一本調子の米ドル/円の上昇から、11月に入ってから下落へ急転換となった点は、程度こそ違うものの、1年前と似ているといって良いだろう(図表1参照)。11月7日付けで「やはり1年前に似ている米ドル/円」というレポートを書いたが、改めてこのテーマについてフォローしてみたい。

【図表1】米ドル/円の週足チャート(2022年10月~)
出所:マネックストレーダーFX

1年前は11月から米ドル/円が下落へ転換すると、すぐに急落に向かった。11月初めに150円近辺で推移していた米ドル/円は、11月半ばには140円割れとなった。この米ドル急落のもう1つの特徴は、それが金利差から大きくかい離したものだったということだ(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日米2年債利回り差(2022年1月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

2022年11月以降もFRB(米連邦準備制度理事会)は大幅利上げを継続中だった。FOMC(米連邦公開市場委員会)は11月に0.75%、そして12月も0.5%の利上げを行った。こうした中で金利差米ドル優位が大きく縮小したわけではなかったが、金利差変化で説明できる範囲を遥かに超えた米ドル急落が広がるところとなった。

1年前の11月に、金利差からかい離した米ドル急落をもたらした主因は、大量の米ドル買いポジションの手仕舞いに伴う米ドル売りと見られた。確かに、CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションを見ると、10月末を境に、米ドル買い・円売りに大きく傾斜したポジションが急縮小に向かっていた(図表3参照)。

【図表3】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年1月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

CFTC統計の投機筋の円ポジションは、先週にかけて大きく米ドル買い・円売りに傾斜していた。その意味では、1年前と同様に11月に入ってから米ドル下落が拡大を始めたのは、米ドル買いポジションの手仕舞いに伴う米ドル売りの影響が注目されそうだ。

それではなぜ、ポジションの手仕舞いは11月以降本格化しやすいのか。これは、個人投資家の場合など、確定申告の関係などから年末までに損益確定の必要性が高まる影響が大きいためではないか。

年末に向けて米ドル買いポジション手仕舞いの動きに注意を

こうした中で2022年の場合も、11月以降米ドル急落となったことから、米ドル買いポジションの手仕舞いも少しでも高いうちに米ドルを売るということに急かされ、それが更に米ドル下落を加速させることになった可能性があった。

今年も1年前と同様に、大量の米ドル買いポジションについて、年末が近づく中で損益確定が広がり、それが10月までの米ドル/円上昇が下落に転じ始めた一因と考えられる。今後の米ドル/円の動向次第では、それが1年前のような米ドル急落の拡大に向かうリスクにも一応の注意が必要かもしれない。