東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて続落となりました。265円安の31,164円で寄り付いた日経平均は取引開始から15分弱で336円安の31,093円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に下げ渋ると後場に入り13時30分過ぎには1円安の31,428円まで持ち直しました。しかし、戻し切れないと下げ幅を広げ結局171円安の31,259円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が昨日に続いて年初来安値を更新しています。
2.個別銘柄等
第一三共(4568)が一時17.6%高となりました。第一三共の抗体薬物複合体(ADC)と呼ばれる技術を用いて開発中の3つの抗がん剤について、米製薬大手のメルク[MRK]と開発・商業化契約を締結したと発表したことで上げ幅を広げました。西松屋チェーン(7545)も一時15.5%高となり年初来高値を更新しました。旧村上ファンド出身者が設立した投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが西松屋チェーンの発行済み株式の5.63%を取得したことが関東財務局に提出した大量保有報告書で判明したことから買いを集めました。サッポロホールディングス(2501)も一時2.3%高となり年初来高値を更新しました。シンガポールの投資ファンドである3Dインベストメント・パートナーズがサッポロホールディングス株を5.09%保有していることが判明したことで買いが優勢となりました。シャッター国内最大手の三和ホールディングス(5929)も一時6.8%高となりました。米州事業で想定以上に売価が維持できたことに加え、国内事業が堅調に推移したことなどから185億円とみていた上期の営業利益の見通しを275億円に上方修正し一転して増益予想となったことから大幅高となりました。また、東証スタンダード市場では印刷機械大手の東京機械製作所(6335)が23.1%上昇しストップ高となりました。ニシオホールディングス(9699)傘下の西尾レントオールと提携し自律走行清掃ロボットの共同開発を進めていると発表したことを材料視した買いが入りました。一方でイオンファンタジー(4343)が目標株価の引き下げを受けて一時3.3%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は171円安となりました。米国のインフレ率は依然として高すぎるなどといったパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言を受けて米長期金利が上昇したことで昨日の米国市場が続落となったことから売りが優勢となりました。一時は330円以上下げましたが、節目の31,000円近くまで下落したことや10月6日と10日に空けた窓(31,160円-31,314円)を埋めたこともあり売り一巡感が出て下げ幅を縮め、一時は1円安まで戻す場面もありました。そのため31,000円近辺での底堅さがやや意識されそうで、来週は本格化する決算発表を支えに戻りを試せるかがポイントとなりそうです。なお、米国では一足早く決算発表が始まっています。20日もアメリカン・エキスプレス[AXP]などが決算発表を予定しています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)