東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅に3日続伸となりました。184円高の32,120円でスタートした日経平均は寄り付きを安値に上げ幅を広げると11時20分過ぎに455円高の32,392円まで上昇し386円高の32,323円で前場を終えました。433円高の32,370円でスタートした後場の日経平均はさらに上げ幅を広げると558円高の32,494円で取引を終え高値引けとなりました。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

上期決算を発表したイオン(8267)や吉野家ホールディングス(9861)が買われました。イオンは衣料品や食品のプライベートブランド(PB)が伸びたうえ、構造改革を進めたことにより総合スーパー(GMS)事業が10年ぶりに黒字転換したことなどで上期の営業利益が前年同期比で22.7%増となったことから一時4.8%高となりました。吉野家ホールディングスも新型コロナウイルス感染症の5類移行などで外食需要が回復するなか牛丼の値上げ効果もあり46億円とみていた通期の営業利益の見通しを68億円に上方修正したことから一時12.3%高となり上場来高値を更新しました。本決算を発表したサイゼリヤ(7581)も14.5%上昇しストップ高となり上場来高値を更新しました。アジア事業が好調で、営業赤字だった国内事業も客足が回復して黒字に転換するとみられることから2024年8月期の営業利益が前期比で81.4%増となる見通しを示したことで買いを集めました。出光興産(5019)も一時8.5%高となりました。トヨタ(7203)と電気自動車(EV)向けの次世代電池「全固体電池」の量産に向け協業すると発表したことを材料視した買いが入りました。トヨタも3.4%高となっています。

一方でコスモス薬品(3349)が一時10.1%安となりました。物価高を受け消費者の節約志向が高まるなか低価格を強みとする食品販売が伸びたことなどにより第1四半期の営業利益は前年同期比で1%増と増益を確保しましたが、市場予想に届かなかったことで売りが膨らみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は558円高となりました。米卸売物価指数(PPI)の伸びが鈍化し米長期金利が低下して昨日の米国市場が続伸となったことから買いが優勢となり、節目の32,000円を超えて上げ幅を大きく広げ25日移動平均線(32,303円)や一目均衡表の雲の下限(32,343円)、75日移動平均線(32,436円)を一気に回復し、節目の32,500円一歩手前まで上昇しました。そのため地合いの好転が改めて意識されそうで、明日は利益確定の売りが出やすいなかで戻り歩調を維持して一目均衡表の雲の上限(32,519円)を上回ってさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。なお、小売り企業の決発発表が続いていますが本日も引け後にはセブン&アイ・ホールディングス(3382)やファーストリテイリング(9983)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数と9月の米消費者物価指数(CPI)が発表される予定で、米CPIは米連邦準備制度理事会(FRB)の今後の金融政策を占ううえで関心の高い経済指標だけにマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)