10月前半はリターン・リバーサルが強い展開か

9月の日経平均は上に往って来いの値動きとなりました。一時は8月の戻り高値を更新し、7月3日の年初来高値まであと一歩に迫る場面もありましたが、米長期金利の上昇で米国の株式市場が軟調に推移したことが月後半の失速要因となりました。

一方で、現状は6月以降でのもち合い相場の範疇であり、10月は年末高に向けての値固めに期待したいところです。

為替市場では1ドル=150円に迫る円安が進行しており、当局の介入などを通じた円高方向への反転は株式市場にとっては上値の重荷となります。ただ、米長期金利の高止まりが続く中では円高方向への反動は限定的で、株価を押し下げるまでの材料にはならないとみられます。

10月前半は物色面ではリターン・リバーサル(下がった銘柄や業種を買い、上がった銘柄や業種を売る)色が強い展開が予想されます。9月末までの半年間のパフォーマンス下位だった、繊維、非鉄金属、精密機器、金属、化学、医薬品、サービス、電気機器などへの見直し買いが入りやすい一方、上位の鉱業、銀行、輸送用機器、電気・ガス、保険、海運、卸売、その他金融などは相対的に上値が重くなりそうです。

海外投資家の資金流入や企業の中間決算発表にも注目

また、10月は海外投資家による資金流入が多い月でもあります。米主要指数に持ち直しがみられれば、その傾向が強くなることが予想されます。10月4日の「証券投資の日」から2024年3月末までのTOPIXの騰落率は比較的良好です。

2003年以降を振り返ると、直近ではコロナショックで悪化する年もあり、騰落率にムラはありますが、相場の方向性をみる上で1つのアノマリーが確立しています。2023年3月末までは約5%程度の上昇にとどまったものの、9月の年初来高値までは約27%上昇しました。

10月終盤から始まる3月期本決算企業の中間決算の発表も注目材料となります。前回の決算からは電機・精密・機械などのハイテク系銘柄に大きく下げたものが目立ちましたが、円安進行なども追い風に悪材料出尽くしになるかが焦点となります。海外投資家からは株主還元策の拡充や資本効率改善策への評価が高まるかどうかも、年末に向けてのもち合い上放れのカギになりそうです。

(10月1日 執筆)