東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は5日ぶりに反発しました。114円高の32,517円で寄り付いた日経平均は伸び悩むと取引開始から15分余りでマイナスに転じましたが、14円安の32,388円で下げ渋ると持ち直し187円高の32,590円で前場を終えました。249円高の32,652円でスタートした後場の日経平均はさらに上げ幅を広げ14時50分前に319円高の32,722円まで上昇すると結局276円高の32,678円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
第一三共(4568)が一時8.1%高となりました。英アストラゼネカと開発中の抗がん剤「ダトポタマブ デルクステカン」の臨床試験結果を公表し、統計的に有意かつ臨床的意義のある改善を示したと発表したことを好感した買いが入りました。アステラス製薬(4503)も一時3.1%高となりました。バイオ医薬品の米シージェン[SGEN]と共同開発する尿路上皮がん治療薬「パドセブ」の試験で良好な結果を得られたと発表したことで買いが優勢となりました。三菱ケミカルグループ(4188)も一時2.9%高となり年初来高値を更新しました。2025年3月期の稼働を目指し、微細な半導体回路をつくるのに欠かせないフッ化アルゴン用のフォトレジスト(感光材)向け高分子素材の国内新工場を建設すると伝わったことで将来の収益貢献を期待した買いが優勢となりました。近畿地方を中心にスーパーを展開する平和堂(8276)も一時7.3%高となり年初来高値を更新しました。新型コロナウイルス感染症の法的な位置づけの移行に伴い外出需要が回復して客数が増加したことに加え、光熱費が想定ほど上昇しなかったことなどにより68億円とみていた通期の営業利益の見通しを130億円に上方修正したことから大幅高となりました。
一方で日銀の植田和男総裁が先週末の金融政策決定会合後の記者会見で「粘り強く金融緩和を続けていく」と強調したことで金融緩和政策の早期修正観測が後退したことから3メガバンクが売られました。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が一時2.7%安、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が一時3.5%安、みずほフィナンシャルグループ(8411)も一時2.9%安となりました。また、投資判断の引き下げを受けて中国電力(9504)や北陸電力(9505)が安く、中国電力が一時2.8%安、北陸電力も一時4.2%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は276円高となりました。先週末の米国市場は続落となりましたが、日米の中銀イベントを通過した安心感に加えて、先週末までの4日間で1,100円以上下げていたこともあり買いが優勢となりました。朝方には節目の32,500円を小幅に上回ったところで伸び悩むと小幅にマイナスとなる場面もありました。しかし、下げ渋り底堅さをみせると持ち直し上げ幅を広げ、一目均衡表の雲の上限(32,524円)や25日移動平均線(32,591円)、さらに75日移動平均線(32,652円)を一気に回復しました。そのため警戒ムードも一旦後退しそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)