先週末はマネックス全国投資セミナーで松山へ。少しでも街の空気を楽しもうと、前日は早めに現地入り。まずは松山空港からリムジンバスでJR松山駅前へ。そこから伊予鉄道の市内電車で松山市駅~大街道と路面電車に揺られてホテルまで移動しました。これまで何度か松山での仕事のご縁をいただいたものの観光する時間はなく、今回初めて路面電車に乗ることができて大満足でしたが、この僅かな滞在で松山にもインフレの足音が急ピッチで忍び寄っていることを感じました。

路面電車、1回の乗車運賃は180円でしたが、電車内に「10月1日から200円」と値上げのお知らせが。調べてみると伊予鉄は2021年12月にも運賃改定を行っています。この時の値上げが27年ぶりと報じられていますが、よくよく調べてみると、2020年10月にも運賃改定が行われていました。27年間据え置かれてきた運賃は2020年以降、3回も値上げが行われているのです。30年近いデフレの粘着性に慣れた日本人にとって、この急激なインフレ転換は受け入れ難いものかもしれません。

講師陣が皆様からの質問に答える最後のQ&Aセッションでは、会場のお客様から「円安は国力の低下ではないのか」という質問があがりました。インフレとは通貨価値の毀損であるとして緩和政策を続ける日銀のスタンスを疑問視する声も大きくなっていますが、果たしてインフレは悪いことなのか。

問題は賃金上昇が物価上昇に追いつかないこと。6月の毎月勤労統計で1人当たりの賃金は物価変動を考慮した実質で前年同月比1.6%減。マイナスは15ヶ月連続で減少幅は5月の0.9%から広がっています。この15ヶ月、賃金上昇より物価上昇が大きいということですね。これではインフレで生活が苦しくなるばかり。インフレ=円安が悪いことのように見えてしまいます。

一方で愛媛県の最低賃金は今年、現行の時給853円から44円引き上げて897円に改定される方向で動いています。これが適用されれば引き上げ率5.16%で最低賃金が時給換算となった2002年以降で過去最高となります。こうした機運が日本中に広がり実質賃金がプラスとなれば、日銀もいよいよ金融政策の転換に動けると思いますし、円安(インフレ)が悪いことだという認識も変わっていくものと思います。