2022年9月に介入を始めた理由
約10年ぶりに実現した2022年の為替介入が最初に行われたのは9月22日だった。その前は、2010~2011年にかけて行われ、今回とは異なる円高阻止介入だったが、最初に介入が行われたのは2010年9月15日だった。
なぜ2022年の円安阻止介入、そしてその前の円高阻止介入は、ともに9月から始まったのか。それは相場水準や値動きなどの影響も当然あっただろうが、それ以外に中間決算前という意味もあったのではないか。
決算前に、相場の大きな変動が続くことは、決算の作業に関わっている人たちからするとできるなら避けてほしいというのが本音だろう。そこで、決算前の相場の急変をけん制し、安定化を目指すことから9月に介入を始めるとなった可能性はありそうだ。
もう1つ、通貨当局が為替介入を行う上で意識していることとして、なるべく相場を大きく動かす可能性のある注目イベントの後ということもありそうだ。2022年の最初の円安阻止介入は上述のように9月22日だったが、これはFOMC(米連邦公開市場委員会)直後のタイミングだった(図表参照)。
なお、為替介入ではないが、日銀が政策修正を決めた金融政策決定会合は7月28日だったが、これもFOMCの直後のタイミングだった。なぜこのように、日本の金融市場に関係した重要な政策決定がFOMCの直後に行われたのか。それは、FOMCなど金融の重要イベントを受けて相場が大きく動いた場合、せっかく日本で決定したことやその影響も台無しになりかねない懸念のためではないか。
金融イベントの影響を避けるタイミングでの介入の可能性
為替介入の場合は、特にその影響が想像しやすいかもしれない。せっかく円安阻止介入で米ドル安・円高に振れても、その後にFOMCが行われた場合に、FOMCの結果を受けて米ドル高・円安が再燃、介入効果がすぐに吹き飛ぶリスクもあるだろう。
2022年の2度目の介入は10月21日。この日介入に出動したのは、いよいよ米ドル高・円安が150円の大台を超えてきたことが一番の理由だっただろう。ただ、次のFOMCが11月2日の予定となっており、それまで当面大きなイベントがない見通しだったことは、介入に出動しやすかった理由だったかもしれない。
以上を踏まえ、当面のイベント予定と為替介入のタイミングについて考えて見よう。9月11日から始まる週は、水曜、木曜とCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)といったインフレ指標の発表が予定されている。そして18日から始まる週は、水曜日にFOMCが予定されている。
このような相場が大きく動く可能性のある注目イベントの前の介入はなるべく避けて、イベント通過後、または当面大きなイベントのないタイミングが、介入としては判断しやすいのではないか。