米ドル/円 週間予想レンジ:140.50~145.50

メインストラテジー:レンジ取引

・買われ過ぎが鮮明に
・上昇最終段階へ
・金利差と乖離

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週大幅に続伸し、夏枯れ相場だからこそ値幅が拡大された疑い。薄商いの中、日米金利とかなり乖離した形の高値トライとなり、ほぼ1本調子の上昇で145円大台の打診を果たした。

もっとも、先々週は再び波乱した。一旦143.90円をトライしたものの、一転して反落し、141.75円の大引けをもって週足では大きな「スパイクハイ」のサインを点灯した。そのような背景もあり、先週の続伸で先々週の「スパイクハイ」を否定し、強いサインだったとも解釈される。

さらに、その前の週足は「スパイクロー」のサインを形成し、陰線だったことに対し、先々週は陽線だった。となると、先週の高値更新がしばらく構造上の強さを示し、場合によってはさらなる上値追いも可能かと思われる。

しかし、私はこのような視点に否定的である。なにしろ、薄商いだからこそ、買われ過ぎというのか、オーバーした値動きになりがちである。7月安値の137.24円を起点とした切り返しは、上昇波としてむしろ「上昇ウェッジ」という典型的なフォーメーションを示し、これからの頭打ちを暗示するだろう。

この視点において、まず確認しておきたいのは、7月安値を起点とした切り返し自体が最終段階にあるということだ。そのため、仮に145円以上の値動きがあっても同関門以上の定着は難しいだろう。となると、先週の大陽線自体が「ダマシ」的な存在になりやすいと推測される。

大きな視点としては、やはり米ドル全体(米ドル指数)との連動があるだろう。同指数は7月18日から一貫して切り返してきたが、週足における状況は米ドル/円とほぼ同様で、先週の大陽線自体が切り返しの最終段階と暗示された。一時のオーバーがあっても、米ドルショート筋のカバー(買戻し)が主因であったと推測され、近々頭打ちを果たすだろう。

もっとも、日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟化自体が円売りの材料ではなかった。従って、米ドルのショート・カバーが一巡した後、これから材料の蒸し返し(即ち円買い)があってもおかしくない。とはいえ、7月28日の大陽線は、その存在感が大きい。同日のサインを否定するには、何らかの大きな材料が必要と思われ、目先としてはなお均衡を保てる公算が大きい。あくまでサイン待ちの段階であることも強調したい。

豪ドル/円 週間予想レンジ:92.50~96.00

メインストラテジー:押し目買い

・底打ちを再確認
・保ち合いは継続
・均衡状態も継続

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週切り返し、陽線で大引けした。先週値幅こそ限定だったものの、底割れ回避という意味では大きな存在感を発揮し、これからの均衡状態を作りだしていた。

というのも、先々週再度波乱、一旦95.86円をトライしたものの、一転して大幅反落し、週足では「スパイクハイ」の大陰線を形成した。さらに、その前の週足ではより値幅の大きい大陰線を形成したことから「インサイド」のサインが形成され、先週の値幅を含めて同サインを形成中と見なされ、一旦切り返しを果たしたところ、レンジ変動の状況を示唆していた。

そもそも、前述の内容に関して悲観的に見てはいなかった。これまで強調してきたように、週足における「インサイド」、母線の「スパイクロー」のサインに鑑み、弱含みとはいえ、基調が崩れたことでベアトレンドへの復帰を認めなかった。この視点において、先々週の値動きをあくまで途中の波乱とみなし、また先週の上昇で大分状況を改善したとみている。

豪ドルの頭の重さを想定していたが、底割れではなかったこともこれまで繰り返し解説してきた。6月高値の97.75円を起点とした反落は、あくまで調整子波の位置付けであると繰り返し強調してきた。日銀会合後の波乱は、一旦行き過ぎ(92円関門割れ)であった上、7月31日に一旦95.86円まで戻り、7月28日罫線の意味合いを証明したと解説していた。

同日は典型的な「スパイクロー」のサインを点灯し、また大引け値をもって大幅切り返しを果たしたため、事実上「フォールス・ブレイクアウト」、即ち安値トライ自体が「ダマシ」であったことを証明した、調整子波の完成が想定できたわけだ。

そのため、8月8日に再度「強気リバーサル」のサインが点灯され、また95円関門直前までの上昇をもたらし、一段と底割れ回避を示唆した。しばらく高値追いといった状況ではないが、保ち合い相場の一環としてこれからも均衡状態を保てると推測される。

米ドル/円の頭打ちを想定した上、保ち合いの先行を有力視する理由は豪ドル/米ドルの底打ち、という可能性があるからだ。ただし、あくまで底割れ回避、またブルトレンドへ復帰する途中との位置付けなので、レンジ内における押し目をじっくりと拾いたい。92円2半ばの支持があれば、構造上の強さを再度確認できるとみている。