今日7月21日からトム・クルーズ主演の新作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』が公開されます。見どころのバイクで断崖絶壁からジャンプするシーンは撮影初日に敢行。「撮影を続けられるか止めるかは初日に見極めようぜ!」というトム・クルーズ、スタントマンを使わなかったというのですから天晴ですが、残念なのは今回、親日家のクルーズのプロモーション来日がないこと。昨年のトップガン来日に続いて今回は25回目の来日となる予定だったのですが、急遽中止となった背景には「AI」が絡んでいます。
来日の緊急中止の理由は、米国映画俳優組合(SAG-AFTRA)が7月14日よりストライキを実施することを決定したことに伴い、組合員が撮影や宣伝活動を行うことができなくなったため、とされています。俳優や脚本家らは、ストリーミング配信時代における基本給と報酬の増額のほか、仕事が人工知能(AI)に取って代わられない保証を求めていると報じています。
私は昔、声優の仕事をしていた時期があるのですが、TVで放映する外画などの吹き替えの仕事では収録と放送で1回のギャランティが発生し、再放送される際には改めて二次使用料が支払われていました。現在はネットフリックスやディズニー、アマゾンなどストリーミング配信での視聴も増えましたね。ハリウッド俳優が求めるギャランティ体系の見直しは当然でしょう。
そして俳優らが強く危惧している「AI」の活用。全米映画テレビ制作者協会(AMPTP)が「革新的な」AIの提案として、「俳優やエキストラなどが1度仕事をすればその対価は支払われるが、その肖像はAIに取り込まれ今後生成AIとして本人の許可なしに永久的に使用することを認める」という契約を提案している、と俳優組合の事務局長が会見で明かしています。仕事の対価は1度の報酬のみ、以降キャプチャーされた肖像がAIによって命を吹き込まれ俳優の代わりに演技をするが報酬は発生しないというのです。俳優の仕事がAIに奪われてしまう…そんな危機感が膨らんでいるのです。
奇しくもクルーズの最新作ミッション・インポッシブルの悪役は「エンティティ」と呼ばれるAI。私も少しばかりAIセクターへの投資をしていますが、人類の敵となる日が来るのでしょうか。この夏は時間を見つけてクルーズの最新作を映画館の大スクリーンで見る予定です。