東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は小幅に反落となりました。168円高の32,587円で寄り付いた日経平均は直後に361円高の32,780円まで上昇しましたが、朝方の買い一巡後に上げ幅を縮めると9時20分過ぎにマイナスに転じ10時40分には193円安の32,225円まで下落しました。その後下げ渋ると持ち直し後場には210円高の32,629円まで戻す場面もありました。しかし、上値は重く伸び悩むと売りが優勢となり結局28円安の32,391円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
ばら積み船市況の総合的な値動きを表すバルチック海運指数が回復傾向にあることから大手海運株が買われました。川崎汽船(9107)が一時5.4%高となり年初来高値を更新したほか、日本郵船(9101)と商船三井(9104)も一時2.6%高となりました。東宝(9602)も一時6.8%高となり上場来高値を更新しました。「名探偵コナン」など自社配給のヒット作に恵まれたことなどで400億円とみていた通期の営業利益の見通しを450億円に引き上げ、一転して増益予想となったことから大幅高となりました。久光製薬(4530)も一時18.8%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。行動制限の緩和で主力の貼り薬など一般用医薬品が国内外で伸びたことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で8.4倍となったことや、自己株式を除く発行済み株式総数の2.57%にあたる200万株、100億円を上限とした自社株買いを発表したことから買いを集めました。また、昨日の米国市場で半導体関連株が買われた流れを受けて東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)、ディスコ(6146)などが高く、アドバンテストは一時6.3%高となり上場来高値を更新しています。
一方でセブン&アイ・ホールディングス(3382)が5.1%安となりました。ガソリン価格の下落で海外のコンビニエンスストア事業が大幅な減益となったことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で19.9%減となったことから大幅安となりました。第3四半期決算を発表したファーストリテイリング(9983)も一時2.5%安となりました。通期の営業利益の見通しを3600億円から3700億円に上方修正したことで買いが先行し一時は2.9%高となりましたが、朝方の買い一巡後に利益確定の売りが出て伸び悩むと下落に転じました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は28円安となりました。6月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想を下回ったことで米連邦準備理事会(FRB)による利上げ長期化観測が一段と後退し昨日の米国市場が続伸となったことで買いが先行し、一時は360円以上上げる場面もありました。しかし、ドル円が一時137円台前半まで円高が進んだこともあり伸び悩むと売りが優勢となりました。そのため上値の重さが強く意識されそうです。なお、日本時間の21時30分には6月の米輸出入物価指数が発表されるほか、23時には7月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表される予定です。また、米国では4-6月期の決算発表がスタートします。14日の米国ではJPモルガン・チェース[JPM]やシティーグループ[C]などが決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)