東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反発となりました。86円安の33,399円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分余りで298円安の33,186円まで下落しました。しかし、朝方の売り一巡後に下げ渋ると昼休み時間中に発表された日銀の金融政策決定会合の結果を受けて後場寄り直後にプラスに転じ上げ幅を広げました。14時50分過ぎに287円高の33,772円まで上昇した日経平均は引けにかけてやや上げ幅を縮めたものの結局220円高の33,706円で取引を終え、バブル崩壊後の高値を更新しています。こうしたなか新興株も高く、東証マザーズ指数が4.5%高と大きく上昇し年初来高値を更新しています。

2.個別銘柄等

キヤノン(7751)が一時5.5%高となり年初来高値を更新しました。自己株式を除く発行済株式総数の1.6%にあたる1600万株、500億円を上限とした自社株買いを発表したことから大幅高となりました。ヤクルト本社(2267)も4.3%高となりました。一部製品について9月1日から価格を引き上げると本日の昼に発表したことから収益の改善を期待した買いで後場に入って上げ幅を広げました。データセンター運営のさくらインターネット(3778)も21.2%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。経済産業省が国内で生成AI(人工知能)開発の基盤づくりとして、さくらインターネットが近く整備するスーパーコンピューターの経費の半額を補助すると伝わったことを材料視した買いが入りました。くら寿司(2695)も4.1%高となりました。中国本土で初めてとなる店舗を15日に上海市内に開業し、この1号店の出店を機に10年間で100店舗を中国で展開すると発表したことから収益の拡大を期待した買いが入りました。

一方で建設コンサルタント大手の日本工営(1954)が3.9%安となりました。のれんの減損損失計上やコンサルティング事業において想定以上のインフレ影響により外注費等の変動費が当初計画より増加したことなどで2023年6月期の業績予想を下方修正したことから大幅安となりました。また、東証スタンダード市場では岸田文雄首相が今国会での衆院解散を考えていないと表明したことから選挙関連銘柄の下げが目立ちました。封筒最大手のイムラ(3955)が9.4%安となったほか、投票用紙の分類機器などを販売するムサシ(7521)も9.2%安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は220円高となりました。昨日の米国市場が上昇する一方で、ドル円が円高となるなど強弱材料が入り混じるなか、岸田文雄首相が今国会での衆院解散を考えていないと表明したことで衆院解散・総選挙による株高への思惑が後退したことから下落してスタートし一時は300円近く下げる場面もありました。しかし、昼休み中に現行の大規模な金融緩和の維持を決めた日銀の金融政策決定会合の結果が発表されると後場に入って買いが優勢となり14日に付けたバブル崩壊後の高値(33,502円)を更新して取引を終えました。結局、終わってみれば今週も押し目待ちに押し目なしを地でいくような展開で、週間では1,440円高となり10週連続での上昇となりました。そのため11週連続上昇への期待も高まりますが、短期的な過熱感があり高値警戒感が意識されやすいなかでどこまで水準を切り上げられるかが来週もポイントとなりそうです。なお、日本時間の23時には6月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)