東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は小幅反発となりました。75円安の28,340円で寄り付いた日経平均は取引開始から20分余りで174円安の28,241円まで下落しました。しかし、朝方の売り一巡後に下げ渋り徐々に持ち直すと14時前にプラスに転じ14時50分には43円高の28,459円を付けました。結局、日経平均は41円高の28,457円で取引を終えています。一方で新興株は軟調で東証マザーズ指数が小幅に下落となっています。
2.個別銘柄等
第1四半期決算を発表したキヤノン(7751)が一時5.3%高となり年初来高値を更新しました。新規事業に位置付ける監視カメラやミラーレスカメラなどが想定以上に伸びることで通期の営業利益の見通しを3600億円から3800億円に上方修正したことで大幅高となりました。
本決算を発表し市場予想を上回る見通しを示した日立建機(6305)や日東電工(6988)も大幅高となりました。日立建機は北米などで油圧ショベルの需要が堅調に推移することなどで2024年3月期の営業利益が市場予想を上回る1400億円になる見通しを示したことから3.7%高となり、日東電工も産業用テープやスマホ向けの回路基板などが堅調に推移することなどで2024年3月期の営業利益が市場予想を上回る1500億円になる見通しを示したことから6.2%高となりました。
同じく本決算を発表した小糸製作所(7276)も一時9.3%高となり年初来高値を更新しました。2024年3月期の営業利益の見通しは市場予想を下回りましたが、自己株式を除く発行済み株式総数の4.98%にあたる1600万株、350億円を上限とする自社株買いを発表したことで買いを集めました。さらに良品計画(7453)が株主優待制度を導入することを発表したことで一時3.1%高となっています。
一方で本決算を発表したアドバンテスト(6857)が9.2%安となりました。世界的な景気減速を受けて半導体メーカーの在庫調整や生産調整が続く見込みで2024年3月期の営業利益が前期比で37.4%減となる見通しを示したことから売りが膨らみました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は41円高となりました。昨日の米国市場でダウ平均が230ドル近い下げとなったことで売りが先行しました。しかし、朝方の売り一巡後に下げ幅を縮めると後場に入ってプラスに転じました。東証プライム市場の騰落レシオが昨日時点で128%と依然として買われ過ぎとなる120%を超えていたこともあり上値は限定的でしたが、下げ渋りプラスに転じたことで底堅さが意識されそうです。なお、先週から始まった決算発表が本格化しています。本日も引け後には信越化学工業(4063)や富士通(6702)、JR東日本(9020)、ANAホールディングス(9202)などが決算を発表する予定です。
また、日本時間の21時30分には1-3月期の米GDP速報値や米新規失業保険申請件数が発表されるほか、27日の米国ではインテル(INTC)やメルク(MRK)、ハネウェル・インターナショナル(HON)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)などが決算発表を予定しています。さらに明日は昼頃に金融政策決定会合の結果が発表となる予定です。現状維持がコンセンサスですが、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の修正に動くとの観測も一部にあることから結果が注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)