米経済指標はインフレ鎮静化を示唆

米国では決算発表のシーズンが始まりました。市場は業績発表に加え、連日のように発表される経済指標に翻弄されたにも関わらず、先週S&P500は0.79%上昇、ナスダック100は0.13%上昇し、続伸となりました。

先週発表された3月の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)もコンセンサス予想を下回り、インフレが鎮静化する気配を見せています。コアCPIが引き続き高い理由はシェルター(住居費)が高いためです。ただ、シェルターを除いたコアCPIの3ヶ月季節調整年率は2.6%となっており、FRB(米連邦準備制度理事会)のターゲットである2%に近づいてきています。

ペンシルベニア州立大学が発表している、リアルタイムで家賃のトレンドを計るペンステート/ACYマージナルレント(賃貸)指数を見ると2月は前月比でマイナス1.7%、前年比でマイナス6.4%となっており、2022年12月に始まった家賃の下降トレンドが続いています。CPIの住居費のデータは遅行指数ですので、このように下降し始めているリアルタイムのデータが、CPIに反映されるのは時間の問題になると考えられます。

決算発表受け、大手銀行株は上昇

第1四半期の決算発表は始まったばかりですが、先週4月14日(金)に決算発表を行なった大手銀行は金利上昇により純金利収入が増えるなど想定外の恩恵を受けていることが結果に現れています。好決算を発表した世界最大の時価総額を誇るJPモルガン(JPM)の株価は7.55%急騰しました。これはコロナ禍の2020年3月来の大きな上げ幅です。

同行は預金残高も増えており、3月破綻に追い込まれた地銀と違って、JPモルガンのような世界的な大手銀行は、ビジネスを行なっている地域、顧客層、ビジネスの分散化などの恩恵を受けた形となっています。

債券トレーディングがこの10年で最も好調な結果となり、事前予想上回る決算発表を行なったシティグループ(C)の株価も4.8%上昇しています。大手銀行の決算について投資家は一安心できる内容でした。ただし、今後発表される地方銀行の決算については引き続き確認が必要です。

全体的にはS&P500採用銘柄のうち6%の企業が決算を発表しています。発表済み企業のうち90%の企業がポジティブなEPSサプライズを発表しています。これまでの発表だけで、今後の市場の方向性を見ることはできません。ただ、4月14日(金)の大手銀行の決算発表が、事前予想ほど悪くはなかったというのはとりあえず良い知らせです。

今週注目の米国企業の決算発表

今週はS&P500採用銘柄のうち65社の決算発表が予定されています。注目の決算発表は以下の通りです。

4月18日(火):バンク・オブ・アメリカ(BAC)、ゴールドマン・サックス(GS)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、ネットフリックス(NFLX)

4月19日(水):IBM(IBM)、テスラ(TSLA)

4月20日(木):アメリカン・エキスプレス (AXP)、AT&T(T)、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)

4月21日(金):プロクター・アンド・ギャンブル(PG)