東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は大幅に3日続伸となりました。262円高の27,895円で寄り付いた日経平均は9時40分過ぎに221円高の27,854円まで上げ幅を縮める場面もありましたが、大きく押すことなく堅調に推移すると米著名投資家のウォーレン・バフェット氏の日本株に対する前向きな発言が伝わったことで一段高となり11時過ぎに434円高の28,068円まで上昇しました。その後伸び悩むと節目の28,000円を割り込みました。しかし、27,900円台で推移すると結局289円高の27,923円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が保有比率を高めたことを明らかにしたことで大手商社株が高く、伊藤忠商事(8001)が一時3.2%高、丸紅(8002)が一時5.1%高、三井物産(8031)が一時3.7%高、住友商事(8053)が一時3.3%高、三菱商事(8058)も一時3.0%高となりました。
富士急行(9010)も一時4.4%高となり年初来高値を更新しました。10月の入国制限の大幅緩和によりインバウンド需要が堅調に推移したことに加え、政府の全国旅行支援等によるレジャー需要の回復を受け利用者が順調に推移したことから通期の業績予想を上方修正したことで買いが優勢となりました。
USEN-NEXT HOLDLINGS(9418)も一時12.5%高となり年初来高値を更新しました。動画配信サービスの課金収入が伸びたうえ、電力小売事業も好調だったことなどで上期の営業利益が前年同期比で7.9%増となり同期間として過去最高になったことから大幅高となりました。
住友金属鉱山(5713)も一時2.9%高となりました。純度の低い原材料から高効率のリチウムを抽出できる独自の技術開発にめどをつけたことから2028年にも電気自動車用電池などに使うリチウムの生産を始めると伝わったことを材料視した買いが入りました。
また、昨日の米国市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が2%近く上昇したことから半導体関連株が高く、なかでも東京エレクトロン(8035)が投資判断と目標株価の引き上げもあり一時4.8%高となりました。さらに暗号資産のビットコインが3万ドル台を回復したことから暗号資産の交換業者に出資しているセレス(3696)が一時4.5%高となり年初来高値を更新しています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は289円高となりました。日銀の植田和男新総裁が就任記者会見で現在の大規模緩和の継続が適切との考えを示し、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)についても継続が適当と述べたことを受けて133円台後半まで円安が進んだことで買いが優勢となりました。
また、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が「(日本株に)追加投資を検討したい」と述べたと伝わったこともあり上げ幅を広げ、昨日に上値を押さえられた25日移動平均線(27,716円)をしっかりと超えてきました。しかし、利益確定の売りが出て節目の28,000円を小幅に上回ったところでは伸び悩みました。そのため28,000円を超えたところでの上値の重さがやや意識されそうです。
なお、小売り企業を中心とした2月決算企業の本決算発表が先週からスタートしています。本日も引け後にはJ.フロント リテイリング(3086)などが決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)