モトリーフール米国本社、 2023年4月10日 投稿記事より

主なポイント

・バークシャー・ハサウェイのポートフォリオの中でアップル株は現在44%を占め、保有額は1500億ドルに迫る
・バフェット氏がアップルをそれほど高く評価している理由は、ブランド力、競争優位性、力強い利益成長にある
・バフェット氏の大きな賭けは成功しているが、一般投資家は1つの銘柄にそれほど大きく投資するべきではない

オマハの賢人は分散よりも集中を好む

「すべての卵を1つのかごに入れてはいけない」という古い格言があります。これは、分散投資の重要性を表したものです。分散投資によってリスクがなくなるわけではありませんが、大きな損失を被る確率を低くすることができます。

一見すると、ウォーレン・バフェット氏は分散投資を支持しているように思われるかもしれません。同氏が率いるバークシャー・ハサウェイは、さまざまな業界で50社近い銘柄を保有しています。伝説の投資家もすべての卵を1つのかごに入れてはいませんが、よく見ると、1つのかごの中にかなり多くの卵が入っています。ポートフォリオの44%をたった1つの銘柄に投資しているのです。

バフェット氏にとって大切な存在

バークシャー・ハサウェイがそれほど多くの資金を投じている銘柄は、アップルです。現在、バークシャー・ハサウェイが保有するアップル株は、1500億ドル相当に上ります。

バフェット氏が初めてアップルに投資したのは、2016年第1四半期に遡ります。当時、アップル株を買ったのは、主にバークシャー・ハサウェイの投資マネジャーであるトッド・コーム氏とテッド・ウェシュラー氏の影響によるものでした。

バフェット氏がアップル株の購入に踏み切るまでに長い時間がかかりましたが、今では明らかにアップルを気に入っているようです。同氏は2020年のCNBCのインタビューで、次のように述べています。

「私はアップルを株とは思っていない。われわれの第3の事業だと考えている。私が知る限り、アップルは恐らく世界で最も優れた事業だと思う。われわれはアップルに対し、保険事業と鉄道事業に次いで大々的にコミットしている。」

バフェット氏がアップルを高く評価している理由は多くあります。同氏は何よりも、強いブランドを好み、圧倒的な競争優位性を持つ企業への投資を好みます。オマハの賢人と呼ばれる同氏はまた、長期的に一貫して利益が伸びている企業を特に重視します。アップルはこれらすべての条件に当てはまります。

大きな賭けが見事に実を結んだ

バフェット氏がバークシャー・ハサウェイの資金をこれほどまでに1つの銘柄に注ぎ込んだことに、まだ納得できない人もいるかもしれません。しかし、同氏は数年前に、次のように述べています。「分散投資とは、無知から身を守ることである。自分が何をしているか分かっていたら、ほとんど意味がない。」

バフェット氏は、ある企業の中核事業に高い確信を持つことができれば、その銘柄に大きく投資することに迷いはありません。そうした確信は、企業の財務、経営陣、成長見通し、競争環境などを慎重かつ詳細に評価することから生まれます。

バフェット氏のアップルへの大きな賭けは、明らかに実を結んでいます。バークシャー・ハサウェイが初めて投資した時から、アップルの株価は6倍以上に上昇しています。

オマハの賢人は、アップル株にさらなる上昇余地があると信じているようです。バークシャー・ハサウェイは2022年第4四半期にわずか4銘柄しか購入しませんでしたが、そのうちの1つがアップルでした。

誰でも真似できることではない

アップルが素晴らしい事業であり、素晴らしい投資先であるというバフェット氏の考えには賛成できます。

アップル株を買うことが賢い選択だと考える理由はいくつかあります。同社は、中国とインドに大きなビジネスチャンスがあります。また、サービス事業は、今後数年間にわたって同社の成長を力強く牽引するとみられます。さらに、近いうちに発表予定の拡張現実(AR)ヘッドセットや、開発中と噂されている折りたたみ式iPhoneといった新製品にも大きな可能性があります。

とはいえ、一般の投資家は、バフェット氏のように投資資金の大部分をアップルや、別の単一銘柄に投入するべきではないと思います。企業を評価する上で、ほとんどの人はバフェット氏ほどの経験や専門知識を持っていないからです。そして、判断がうまくいかなかったときに、バフェット氏のような資金的余裕のある人もほとんどいません。

アップル株の購入を検討しつつ、十分に分散されたポートフォリオを構築するべきです。あなたが持っている卵とかごは、バフェット氏のものとは大きく違うのです。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Keith Speightsは、アップル、バークシャー・ハサウェイの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアップル、バークシャー・ハサウェイの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。