東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅に3日続落となりました。377円安の27,455円でスタートした日経平均は寄り付きを高値に下げ幅を広げると10時40分過ぎに728円安の27,104円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると530円安の27,302円で前場を終えました。547円安の27,285円でスタートした後場の日経平均は直後に497円安の27,335円を付けた後再び下げ幅を広げると14時30分に671円安の27,161円まで下落し結局610円安の27,222円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

米シリコンバレーバンクなどの経営破綻を受け昨日の米国市場で金融株が大きく下落した流れを受けて大手銀行株が大幅安となりました。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が8.6%安、りそなホールディングス(8308)が9.2%安、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が7.6%安、みずほフィナンシャルグループ(8411)も7.1%安となり、りそなホールディングスが東証プライム市場で値下がり率5位となり、三菱UFJフィナンシャル・グループも8位となりました。地銀株でも富山第一銀行(7184)が11.7%安となり値下がり率トップとなったほか、あいちフィナンシャルグループ(7389)が8.7%安で7位、千葉興業銀行(8337)も8.5%安で10位となっています。米長期金利の低下を受けて生保株も売られました。第一生命ホールディングス(8750)が7.3%安、T&Dホールディングス(8795)は9.0%安となり下落率も6位となっています。円高を受けて自動車株も大きく下げました。トヨタ(7203)が一時4.4%安、日産(7201)が一時6.4%安、ホンダ(7267)が一時5.2%安、マツダ(7261)が一時6.7%安、SUBARU(7270)が一時5.6%安、三菱自動車工業(7211)も一時6.5%安となり、トヨタは昨年来安値を更新しています。原油先物価格の下落を受けて石油関連株も下げが目立ちました。INPEX(1605)が5.5%安、石油資源開発(1662)が6.5%安、出光興産(5019)が5.0%安、コスモスエネルギーホールディングス(5021)も5.2%安となりました。

一方でエーザイ(4523)が一時3.9%高となりました。米バイオジェン(BIIB)と共同開発するアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について米退役軍人保険局(VHA)が保険適用を始めたと発表したことを好感した買いが入りました。また、マーケットが大きく荒れるなかディフェンシブ銘柄として電鉄株の一角が堅調で、JR東日本(9020)が一時2.4%高となり、JR東海(9022)も一時1.3%高となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は610円安となりました。米国で銀行の経営破綻が相次ぎ世界の金融システムが混乱するとの懸念から金融株を中心に売りが膨らんだうえ、円高も重石となり大幅安となりました。昨日に維持した25日移動平均線(27,699円)だけでなく、下げ幅を広げ200日移動平均線(27,353円)も割り込んだことから下値への警戒感が高まりますが、3日間で1,400円以上下落したこともあり明日以降に自律反発に期待したいところです。なお、今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅を占ううえで関心の高い2月の米消費者物価指数(CPI)が日本時間の21時30分に発表となります。伸びは前月から鈍化するとみられていますが、米国で銀行の経営破綻が相次いでいることから米連邦準備理事会(FRB)がFOMCでの利上げを見送るとの観測も一部で浮上していることもありマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)