【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 31,909.64  ▼345.22 (3/10)
NASDAQ: 11,138.89  ▼199.47 (3/10)

1.概況

先週末の米国市場は金融持ち株会社のSVBファイナンシャル・グループ(SIVB)の傘下銀行であるシリコンバレーバンクが経営破綻したことで金融システム不安を警戒した売りが出て大幅続落となりました。69ドル安でスタートしたダウ平均は下げ渋るとまもなくしてプラスに転じ昼前に167ドル高まで上昇しましたが、伸び悩むと再びマイナスとなり取引終盤には471ドル安まで下落しました。その後引けにかけてやや持ち直したダウ平均ですが上値は重く結局345ドル安の31,909ドルで取引を終え4日続落となりました。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も199ポイント安の11,138ポイントと続落となっています。

2.経済指標等

2月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数は31万1000人増となり市場予想を上回りました。失業率は3.6%となり1969年5月以来の低水準となった前月から0.2ポイント悪化し、横ばいを見込んでいた市場予想に悪化しました。また、平均時給は前月比0.2%上昇と前月から伸びが鈍化し市場予想も下回りました。さらに2月の米財政収支の赤字額は前年同月比21.2%増の2624億ドルとなっています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも不動産が3%を超える下落となったほか、素材も2%余り下げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄ではキャタピラー(CAT)が6%近く下落したほか、ゴールドマン・サックス(GS)も4%以上下げました。アメリカン・エキスプレス(AXP)とセールスフォース(CRM)も3%を上回る下落となり、ウォルト・ディズニー(DIS)とダウ(DOW)も2%以上下げました。一方でインテル(INTC)が3%近く上昇し、JPモルガン・チェース(JPM)も2%以上上げています。

ダウ平均構成銘柄以外ではシリコンバレーバンクの経営破綻を受けて中堅銀行や地銀の下げが目立ち、中堅銀行のファースト・リパブリック・バンク(FRC)が15%近く下げ、地銀のシグネチャー・バンク(SBNY)も23%近く下落しました。また、オラクル(ORCL)が決算で売上高が市場予想を下回ったことで3%以上下げました。さらに衣料品小売大手のギャップ(GPS)も決算で赤字額が市場予想以上に膨らんだことなどから6%余り下落しています。

5.為替・金利等

先週末の長期金利はシリコンバレーバンクが経営破綻したことで相対的に安全とされる債券が買われ0.20%低い3.70%となりました。こうしたなかドル円は円高に振れ134円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の28,000円を割り込みそうで、25日移動平均線(先週末時点で27,705円)を維持できるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)