今週(3月3日~3月9日)の相場動向

相場回顧 BTC:米国利上げ長期化懸念とシルバーゲート清算発表により下落

ビットコインは米国の暗号資産銀行シルバーゲートの破綻懸念から急落し、BTC=300万円(22,000ドル)付近まで価格を下げた。その後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を前に様子見ムードが広がり、もみ合いの展開となった。注目の議会証言では議長が根強いインフレを抑制するために利上げを加速する可能性について言及し、今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅拡大への警戒感から米国株とともに下落した。当局や金融関係者の間ではピーク金利が6%になるとの予想も増えた。

3月8日にはシルバーゲートが銀行業務の縮小と任意清算の計画を発表し、同行の株価が暴落する中、BTC=300万円(22,000ドル)を割り込んだ。直後、2022年末時点でシルバーゲートからはすでに多くの資産が引き出されていたことや、現在の預金については全額返還予定であることもあって下げ幅は限定的となった。

しかし、3月9日には法人・富裕層の増税を含む米国2024年度予算教書が嫌気されたことや、新興テック企業向け米国銀行のSVBファイナンシャル・グループの株価が急落したことを受けて米国株が大幅下落し、ビットコインも急落した。米2月雇用統計が積極的な利上げを後押しするとの警戒感もあり、3月10日今朝方にかけてはBTC=273万円(20,000ドル)付近まで価格を大きく下げた。注目された日銀金融政策決定会合は現状維持でサプライズなく通過した。

 

来週(3月10日~3月16日)の相場予想

BTCはシルバーゲート清算発表を受けて買いが入りづらい、欧米2月CPIの発表に注目

金融市場ではパウエル米FRB議長の議会証言を受けて利上げ長期化への懸念が強まっている。議会証言の中でこれから発表される経済指標が政策決定を左右するとの説明があり、本日の米2月雇用統計と来週の米2月消費者物価指数(CPI)の内容には要注目である。

それぞれで景気の底堅さとインフレの高止まりが意識された場合、今月のFOMCでの利上げ幅拡大が濃厚になり、金利上昇とともにリスク資産の売りが強まることが考えられる。欧州CPI「確定値」についても速報値からの上方修正となった場合に、世界的な金融引き締め継続を印象付けることで売りを加速する可能性がある。

暗号資産市場では暗号資産銀行シルバーゲートの清算発表による影響が懸念されている。コインベースをはじめとする大手暗号資産関連企業は同行との取引停止を発表しており、大部分の顧客は資産を避難させていると思われる。またシルバーゲートがデリバティブ商品を売りさばいていたということもないため、暗号資産市場におけるリーマンショックが起こるとも考えられず、テラショックやFTXショックに比べれば相場への影響は小さいと予想する。

しかし、しばらくは取引所やマイニング企業など取引先の経営状況悪化に注意が必要であり、市場センチメントの低下によって買いが入りづらいだろう。本件を受けて米国の暗号資産規制にも動きがありそうだ。

その他、来週に開かれるイーサリアムの開発者会議でShanghaiアップグレードの本番環境での実装予定日が決定されるかに注目である。今回のアップグレードではステーキング資産の引き出しが可能になるため、実装後の売りが懸念されている。

直近上値としてBTC=293万円(21,500ドル)、下値としてBTC=246万円(18,000ドル)を意識する。


※1ドル=136.50円で換算(執筆時)