モトリーフール米国本社、 2023年3月7日 投稿記事より

主なポイント

・原油価格が上昇すれば、デボン・エナジー・コーポレーションの配当はさらに引き上げられる可能性がある
・ダイヤモンドバック・エナジーも、原油価格の上昇とともに増配される公算が大きい
・パイオニア・ナチュラル・リソーシズの2023年の配当は、高く噴出するかもしれない

原油価格は近いうちに再び上昇する可能性がある

2022年初めに、原油価格は爆発的に上昇しました。米国の主要な原油ベンチマークであるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油価格は、年初の1バレル75ドルから、夏には115ドル付近まで高騰しました。しかし、その後、原油価格は大きく下落し、ピーク時から20%超下落しています。現在、WTI原油は70ドル台後半で取引されています。

しかし、いくつかのカタリストによると、原油価格は2023年の夏までに再び100ドルに向けて上昇する可能性があります。そこで、原油相場が再び強気になる前に検討したい銘柄として、石油企業のデボン・エナジー・コーポレーション、ダイヤモンドバック・エナジー、パイオニア・ナチュラル・リソーシズの3銘柄を紹介します。3社とも、石油がもたらす潤沢なキャッシュフローに支えられて、高水準の配当利回りを投資家に提供しています。

デボン・エナジー・コーポレーション:魅力的な配当には増加余地がある

デボン・エナジー・コーポレーション(以下、デボン・エナジー)は、2021年にWPXエナジーとの対等合併を完了した際に、石油業界で初めて「固定+変動」という配当方式を導入しました。固定分(基本配当)については、原油価格が下落しても維持または増配を目指し、さらに基本配当支払い後のフリーキャッシュフローの50%を変動配当として株主に配分しています。

2022年上半期は、原油価格の上昇とともにデボン・エナジーのフリーキャッシュフローが増加した影響で、変動配当は大幅に増加しました。

ところが、最近では原油価格が下落し、キャッシュフローが減少するにつれて、変動配当も減少しています。

2023年に入って原油価格が下落し、また資本支出が増加していることから、変動配当も減少が続くとみられます。例えば、WTI原油価格が80ドルの場合、デボン・エナジーのフリーキャッシュフロー利回りは約8%となります。その半分が配当として支払われるため、2023年の予想配当利回りは4%前後になる見通しです。これは、S&P500指数全体の2%を下回る配当利回りと比べると魅力的な水準ですが、デボン・エナジーの現在の株価と直近の四半期配当額に基づく年率配当利回り6.3%を大幅に下回ります。

原油価格が100ドルを回復すれば、デボン・エナジーのフリーキャッシュフローは大幅に増加し、より多くの資金を配当に充てられるようになるはずです。

ダイヤモンドバック・エナジー:2023年も高配当が見込まれる

ダイヤモンドバック・エナジーも固定+変動の配当方式を採用しています。しかし、同社の配当方針は、キャッシュフローの一定割合を変動配当として支払うのではなく、基本配当、変動配当、自社株買いの合計でフリーキャッシュフローの75%を株主に還元しています。この方針により同社は、株価のバリュエーションが魅力的な水準にあるときに、自社株買いに多くの資本を割り当てることができます。

同社は先日、1株当たり2.95ドル(固定0.80ドル+変動2.15ドル)の配当を発表しました。配当利回りは8.8%となります。

ダイヤモンドバック・エナジーは、2023年も高水準の配当を継続するとみられます。原油価格を80ドルとすると、同社は33億ドルを上回るフリーキャッシュフローが見込まれます。もし、自社株買いを行わず、株主還元の100%を配当に充てた場合、配当利回りは10%となります。一方で、原油価格が平均100ドルになれば、フリーキャッシュフローは45億ドルを上回る可能性があります。そして自社株買いを行わないと仮定すれば、最大13.6%もの配当利回りが期待できます。

パイオニア・ナチュラル・リソーシズ:もう1つの高配当銘柄

パイオニア・ナチュラル・リソーシズも、固定+変動の配当方式を取っており、基本配当支払い後のフリーキャッシュフローの75%を変動配当として株主に配分しています。

そのため、現在の配当利回りは驚異的な水準となっています。直近の四半期配当(1株当たり5.58ドル)と株価に基づくと、配当利回りは年率で約11%となります。

会社側は、原油価格を80ドルと想定した場合のキャッシュフローに基づき、2023年の1株当たり配当を約20ドルと見積もっています。足元の株価に基づくと、配当利回りは約9.5%となります。一方で、原油価格が平均100ドルになれば、年間配当は約28ドルに達する可能性があり、配当利回りは13%を上回ります。

力強い収入源

デボン・エナジー、ダイヤモンドバック・エナジー、パイオニア・ナチュラル・リソーシズはいずれも、石油で稼いだ利益で配当を支払っています。配当性向は異なりますが、3社とも配当利回りは高水準であり、今夏に原油価格が上昇すれば、増配余地も十分にあります。そのため、原油相場が強気になる可能性を検討するには、良い投資先かもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Matthew DiLalloは、記載されているどの銘柄のポジションも保有していません。モトリーフール米国本社は、パイオニア・ナチュラル・リソーシズの株式を推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。