東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日続伸となりました。日経平均は35円安の28,202円でスタートしましたが、寄り付きを安値に下げ渋るとまもなくして買いが優勢となり10時30分過ぎに160円高の28,398円まで上昇し115円高の28,353円で前場を終えました。91円高の28,328円でスタートした後場の日経平均は13時前に125円高の28,362円を付けた後やや上げ幅を縮めました。しかし、28,300円を上回って推移すると結局71円高の28,309円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

オンワードホールディングス(8016)が7.9%高となり昨年来高値を更新しました。前年同月に実施されていた新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限がなく来客数が大きく伸びたことや、全国的に気温が上昇したことで春物商品の販売も好調だったことなどから2月の既存店売上高が前年同月比34.7%増と高い伸びとなったことで買いを集めました。東邦チタニウム(5727)も16.2%高となりました。米国の大手展伸材メーカーと進めていたスポンジチタンの2023年の輸出価格交渉がドル建てで前年比20%程度の引き上げで決着したと伝わったことから収益の改善を期待した買いが入りました。自動車用品のフジ・コーポレーション(7605)も3.7%高となりました。日本海側で大雪によりスタッドレスタイヤの需要が伸びたことに加え、温暖だった太平洋側でも夏用タイヤ販売が好調だったことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で11.4%増と二桁の増益となったことから大幅高となりました。東光高岳(6617)も6.6%高となり昨年来高値を更新しました。東京都が2030年までに都内マンションに電気自動車(EV)充電器を2021年度末時点の150倍にあたる6万基を設置する計画を掲げると伝わったことからEV急速充電器を手掛ける東光高岳に物色の矛先が向かいました。また、投資判断と目標株価の引き上げを受けて買われたのが神戸製鋼所(5406)や帝人(3401)で、神戸製鋼所が5.8%高となり昨年来高値を更新し、帝人も3.5%高となっています。一方で三菱重工業(7011)が一時3.2%安となりました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と開発した大型ロケット「H3」の初号機の打ち上げに失敗したで下げ幅を広げる場面がありました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は71円高となりました。昨日の米国市場が小幅に高安まちまちとなり材料に乏しいなか売りが先行しましたが、寄り付きを安値に下げ渋ると買いが優勢となり上げ幅を三桁に広げる場面もありました。また、TOPIXも小幅に下げて始まりましたが、日経平均同様にプラスに転じると昨年の1月5日に付けた昨年来高値(2,039ポイント)をおよそ1年2ヶ月ぶりに更新しています。ただ、日経平均はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を控えていることもあり上値を追う動きも限定的で買い一巡後に伸び悩みました。そのパウエルFRB議長の米上院銀行委員会での証言は日本時間の8日午前0時から行われる予定です。このところ米経済の強さを示す経済指標の発表が相次いでいることで金融引き締めに積極的なタカ派的な内容になるとの観測も多いことからマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)