今週(2月24日~3月2日)の相場動向

相場回顧 BTC:米国利上げやバイナンスへの懸念により上値は重い

ビットコインは、米1月個人消費支出価格指数が予想を上回る伸びとなったことで利上げ継続への懸念が強まり、米国株とともに下落した。米連銀総裁ら当局者によるタカ派的な発言も目立った。直近、米SECによる暗号資産への取り締まりが強化されているが、国際通貨基金(IMF)や金融活動作業部会(FATF)といった国際組織における暗号資産規制の議論も活発化する中で一時BTC=314万円(23,000ドル)を割り込んだ。

2月27日には米国金利の低下を受けてハイテク株と並び買い戻し優勢となった。人気の高級NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」を手掛けるユガ・ラボがビットコイン上で新しいNFTコレクションをリリースすると発表し、思惑的にBTC=328万円(24,000ドル)付近まで価格を伸ばした。

しかし、コインベースがバイナンスの発行するステーブルコインBUSDの取引停止を発表し、バイナンスへの懸念が再燃したこともあって上値は重くなった。イーサリアムのアップグレード計画に進捗が見られたことで再びBTC=328万円(24,000ドル)付近まで上昇したが、その後はバイナンスや暗号資産銀行シルバーゲートに関する追加の懸念が報じられる中、売りが強まった。注目された米ISM関連指数では市場予想をやや下回ったが反応はまちまちとなった。

※3月3日午前、暗号資産関連業者との繋がりが大きいシルバーゲートの破綻懸念からBTC=300万円(22,000ドル)付近まで急落している。

 

来週(3月3日~3月9日)の相場予想

BTCは米雇用統計次第ではさらなる下落も、シルバーゲート破綻懸念が強まる

金融市場では米国における利上げ長期化への懸念が強まっている。一般に景気関連指標の改善は好感されるものだが、インフレが高止まりする状況では当局の利上げ継続をかえって意識させることになり、金利上昇とともにリスク資産が売られる展開となっている。

来週は米2月雇用統計の発表を控えており、前回に続いて堅調な内容となった場合には利上げ警戒感から売りが強まることは考えられる。今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)にかけては不透明感が一層強まるだろう。また日銀金融政策決定会合では黒田総裁が最後になるため、どのように植田新総裁へバトンタッチするかに注目が集まる。イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正など政策転換を示唆するサプライズがあった場合には為替変動とともに暗号資産価格のボラティリティが高まることには警戒したい。

暗号資産市場では各国における暗号資産規制の動きが増えている。特に米国ではSECが暗号資産の証券性を巡って暗号資産取引所などの事業者を提訴しており、その中でバイナンスに対する懸念も強まっている。また暗号資産に関する国際的な枠組みも議論されている。これらの規制に関する報道は短期的には相場の重しとなるだろう。

またシルバーゲートの破綻懸念も強まっており、仮に暗号資産銀行の破綻が起きた場合に、規模はわからないが暗号資産市場にネガティブな影響が及ぶのは必至である。一方で、ビットコインNFTやイーサリアムアップグレードなど相場を後押しする材料もある。規制の方向性が定まる中で一部では投資家の買いが戻る可能性もあり、相応に底堅い推移になると予想する。

直近上値としてBTC=328万円(24,000ドル)、下値としてBTC=287万円(21,000ドル
)を意識する。

※1ドル=136.50円で換算(執筆時)