モトリーフール米国本社、 2023年2月5日 投稿記事より

主なポイント

・バフェット氏は投資家に、強気相場が始まったときは恐れを抱くようにアドバイスするだろうと考える人もいるかもしれないが、この話には続きがある
・同氏は、基本を忠実に守り、株価のバリュエーションと長期的な利益見通しに注目することを推奨している
・バフェット氏のアドバイスは、強気相場の初期だけでなく、どのような市場環境でも有効である

伝説の投資家は、株式市場がどのステージにあるかなど気にしない

もしかすると、幸せな日々がまたやってくるかもしれません。

S&P500指数は、2022年10月12日に付けた直近の安値から、16%近く上昇しています。あと4%ほど上昇すれば、一般的に言われている強気相場入りの基準に達します。

株価が今の勢いを保って上昇し続けた場合、投資家はどのような戦略を取れば良いのでしょうか。ここで、ウォーレン・バフェット氏の言葉が役に立つかもしれません。伝説の投資家として著名なバフェット氏は、上昇相場や下落相場を何度も経験し、とてつもない長期的な成功を収めています。強気相場の始まりに役に立つかもしれない、バフェット氏のアドバイスを紹介します。

恐れを抱く?

バフェット氏はきっと、強気相場が始まったときは極めて慎重になるようにと投資家にアドバイスするだろう、と考える人もいるかもしれません。というのも、同氏が2008年にニューヨーク・タイムズ紙に寄稿し、「私が株を買う時のルールは単純だ。他人が貪欲になっている時に恐れ、他人が恐れを抱いている時に貪欲になれ」と語ったのは有名な話です。

しかし、ほとんどの人は、バフェット氏が同じ記事の中で、「米国の多くの健全な企業の長期的な繁栄に対して、恐怖を抱くことは理にかなっていない」と書いたことを完全に無視しています。同氏はさらに、「大企業の大半は、今から5年後、10年後、20年後に過去最高利益を更新しているだろう」と述べました。5年後と10年後についてこの予想が正しかったことは、すでに立証済みです。

バフェット氏が言う貪欲は、強気相場の初期よりも、終盤に近付くほど当てはまります。偉大な投資家である同氏は、弱気相場がもたらす機会を好みますが、強気相場入りが近いとみられる中で、バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)のポートフォリオのために株式を購入し続けるのは、それが安全な賭けだからでしょう。

基本に忠実であれ

実際のところ、バフェット氏ならほぼ間違いなく、2023年の株式市場の動きを無視するようにと言うでしょう。同氏は2013年に、バークシャー・ハサウェイの株主に宛てた手紙の中で、「市場、経済、金利、株の値動きなどに関するうわさ話」に基づいて投資判断をしないように警告しました。

では、強気相場が始まったときにバフェット氏はどのようにアドバイスするでしょうか。それは、「基本に忠実であれ」でしょう。同氏は、史上最長となる強気相場が始まって間もない2010年の株主宛ての手紙に、「結局、投資において重要なのは、株式市場を通じて企業のほんの一部を購入することによって、その企業に対してどれだけ支払うか、そして、その企業が今後10~20年にどれだけ稼ぐかだ」と書いています。

ここには、投資家にとって重要な教訓が2つ含まれています。第1に、購入する株式のバリュエーションに注目することです。魅力的なバリュエーションとは、実際に支払う株価と予想利益によって決まります。

強気相場が始まると、事業内容を理解していない企業でも投資したくなることがあるかもしれません。「見逃すことへの恐怖(fear of missing out:FOMO)」に屈しないでください。バフェット氏は2010年に、長年のビジネスパートナーであるチャーリー・マンガー氏と共に、「製品がいかにエキサイティングであっても、未来を評価できない企業は回避している」と書きました。

2つ目の教訓は、長期的な視点に立つということです。バフェット氏は、今後10~20年にその企業がどれだけ稼ぐかに着目せよ、と書いています。これは簡単なことではありませんが、少なくとも企業の利益について妥当な評価をすることに努めれば、成功する可能性は高まるはずです。

色あせることのない永遠の知恵

お気づきかもしれませんが、バフェット氏の投資アドバイスは、強気相場の初期だけに当てはまるわけではありません。強気相場の後期にも弱気相場にも、同じように当てはまります。これは驚くことではありません。

バフェット氏はまず、短期的に株式市場がどうなるか予想することはできない、というはずです。2008年のニューヨーク・タイムズ紙の記事でも、「1ヶ月後、あるいは1年後に株価が上昇しているか下落しているかなど、私には全く分からない」と書いています。

しかし、バフェット氏のアドバイスに従えば、強気相場や弱気相場にこだわる必要はありません。同氏のやり方であれば、株式市場がどうなろうとも、いずれ幸せな日々がやってくるはずです。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Keith Speightsは、バークシャー・ハサウェイの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はバークシャー・ハサウェイの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは以下のオプションを推奨しています。バークシャー・ハサウェイの2023年1月満期の200ドルコールのロング、同2023年1月満期の200ドルプットのショート、同2023年1月満期の265ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。