米ドル/円 週間予想レンジ:129.00~133.00

メインストラテジー:押し目買い

・日銀は政策を維持
・投機筋も一掃
・底値は鍛錬

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週切り返し、一旦下げ止まりを果たした。先々週の大幅続落は、一旦127.46円をトライしたこと、また先週安値が127.22円まで一旦更新したことに鑑み、先週の切り返しが重要なサインを灯したとみている。

そもそも先週の日銀会合に関しては憶測が多かった。日銀会合で緩和政策の再修正あり、と市場関係者らの思惑が濃厚だったことに加え、一部過激な予想では、イールドカーブ・コントロール(YCC)の撤回や利上げさえ見込まれた。また過激な予想が出た分、もはや売られ過ぎの状況が一段と深刻化し、これからの底打ちにつながるタイミングのため、先週の切り返しはその前兆や結果とみている。

言ってもみれば、安値更新自体は2022年高値から反落波の一環として位置付けできるものの、その延長で大分行き過ぎをもたらし、前述のような過激な噂に影響されるまでになると、そろそろ底打ちのタイミングにあることが逆に推測されやすかった。そのため、先週日銀の政策維持で一旦131.59円まで急伸したのも納得できる値動きである。要するに、投機筋が一旦一掃されたわけだ。2022年12月安値に連結する支持ラインの制限もあって、下値余地があっても127円関門前後に制限される可能性が大きく、先週の切り返しは必然的な成り行きだったと言える。

ただし、日銀政策に関する根強い思惑がなお多いこともあって、仮に底打ちされたとしても、なお安値鍛錬の時期にあるだろう。プライスアクションの視点では、安値再更新があって、1月6日の陰線自体が「フォールスブレイクアウト」のサインとして成立、仮に一旦底打ちがあっても、同日高値の134.79円を上回らない限り、弱気変動に留まるとみている。さらに、1月12日の大陰線に続き、1月13日の安値再更新もあって、当面頭の重い状況を示唆している。

言ってみれば、今週は続伸しやすいものの、あくまで底打ちの一環としてみなされ、たちまち強気変動に復帰するとは限らない。ただ、先週日銀会合があった1月18日の値幅が拡大され、また同日一旦131.59円までの高値トライがあったからこそ、その後日足では「インサイド」を形成、また1月20日の堅調もあって、総じて同サインの上放れを果たしやすいのではないだろうか。この場合は132円台前半、また133円台への逆戻りを有力視しており、時間がかかっても134円台後半への戻り余地を拡大すると見ている。そのため、押し目買いのスタンスを維持したい。

豪ドル/円 週間予想レンジ:89.50~93.50

メインストラテジー:押し目買い

・切り返しでサインを強化
・底固めの時期は明らか
・上値を試す機運再来

【図表2】豪ドル/円(日足)  
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週再度波乱でした。日銀会合があった1月18日に一旦92円関門直前まで迫ったものの、その後一転して大きく売られ、翌1月19日に88円関門直前まで打診し、過激な変動ぶりをみせた。ただし、先週1月20日の切り返しや90円半ばの打診があって底割れを回避、また底固めの時期にあることも鮮明化させた。

先々週も一旦92円関門手前まで迫ったが、日銀政策に関する噂に左右され大きく反落、再度88円後半の打診をもって上放れの一旦失敗を示唆していた。ただし、底打ちの構造、即ち日足における「ダブル・ボトム」の構造を維持したことで上値志向自体が維持されると推測していた。

この意味合いにおいて、先週の波乱は先々週の見方を検証する好機でもあった。また1月18日の波乱が大きかった分、動揺しやすいタイミングでもあったと思う。1月18日の罫線自体が大きな「スパイクハイ」のサインであるため、本来は頭が重く、また続落しやすいと解釈してもおかしくないが、あくまで安値圏での保ち合いの一環とみている。

もっとも、年明けから87円台前半まで続落したものの、その後一転して大幅に切り返し、一旦92円関門直前まで再打診したことを重視しなければならない。言ってみれば、日足における「ダブル・ボトム」の構造が崩壊されない限り、性急な見方は不要である。

豪ドルの優位性を検証するもっとも大きなサインとして、2022年12月20日の大陰線に対する安値再更新回避があった。他の主要クロス円が軒並み同日安値を大きく割り込んでいた中、豪ドル/円は同様な値動きを回避していた。また先週の値動きを含め、同安値を割り込んでいないうちに、過激な変動があっても許容範囲内と言える。

このままでは、12月20日高値の92.11円をブレイクしていくだろう。一気に上放れするより、多少の紆余曲折が想定されるが、上放れさえ確認できれば豪ドルの優位性が一段と証明されるだろう。また新たな変動レンジ入りが暗示されるため、極端に言えば、幾ら波乱があっても、1月3日安値の87.40円割れさえ回避できれば、基本的なシナリオは不変である。

この意味合いにおいて、むしろ先週1月18日の「スパイクハイ」は、これから一転してロング筋の目標を示唆する存在になりやすい。本来頭が重く、また上放れに一旦失敗したため、弱気変動が続くと思われるが、弱気変動が続かない場合は一転して再度トライされる存在になりやすいわけだ。

底固めの時期がなお続くが、先週の波乱があったからこそ、大きなレンジにおける値動きの一環と捉える。つまり、202212月20日の大陰線に包まれる形で目下まで大きな「インサイド」のサインを形成中であり、同サインの下放れなしでは上値志向は不変である。この視点を再度強調しておきたい。