【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 34,189.97  △216.96 (1/12)
NASDAQ: 11,001.11  △69.43 (1/12)

1.概況

米国市場は米消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化したことで米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの見通しが強まり続伸となりました。74ドル高でスタートしたダウ平均は利益確定の売りが出て朝方に180ドル安まで下落しましたが、売り一巡後に持ち直すと上げ幅を広げ昼過ぎには319ドル高まで上昇しました。その後伸び悩むと引けにかけてやや上げ幅を縮めましたが結局216ドル高の34,189ドルで取引を終え3日続伸となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も69ポイント高の11,001ポイントと5日続伸となりました。

2.経済指標等

12月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比6.5%上昇し市場予想と一致しました。伸びは6カ月連続で鈍化しています。また、先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比1000件減の20万5000件となり悪化を見込んでいた市場予想に反して改善しました。さらに12月の米財政収支は850億ドルの赤字となっています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうちエネルギーや不動産、コミュニケーション・サービス、情報技術などの8業種が上げ、エネルギーが2%近く上昇したほか、不動産も1%余り上げました。一方で生活必需品と公益事業、ヘルスケアの3業種が下げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄ではアクティビスト(物言う株主)の経営関与への期待からウォルト・ディズニー(DIS)が3%以上上げ上昇率トップとなったほか、投資判断と目標株価の引き上げを受けてボーイング(BA)も3%を超える上昇となりました。また、セールスフォース(CRM)も3%を上回る上昇となり、ハネウェル・インターナショナル(HON)とキャタピラー(CAT)、ダウ(DOW)、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)、ゴールドマン・サックス(GS)、インテル(INTC)、マイクロソフト(MSFT)、シェブロン(CVX)も1%以上上げています。一方でコカ・コーラ(KO)とウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)が1%以上下げています。

ダウ平均構成銘柄以外では、アメリカン航空グループ(AAL)が2022年10-12月期の売上高が従来予想を上回ったと発表したことで9%を超える上昇となりました。ユナイテッド航空ホールディングス(UAL)やデルタ航空(DAL)にも買いが波及し、ユナイテッド航空ホールディングスが7%以上上げ、デルタ航空も3%を上回る上昇となりました。

5.為替・金利等

長期金利は米CPIの伸びが鈍化したことでFRBが利上げペースを緩めるとの見通しが強まり0.10%低い3.44%となりました。こうしたなかドル円では大きく円高が進み129円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は大きく円高が進んだことから下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均はドル円の動向をにらみながらの展開となりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)