中国政府が、中国を訪れる日本人へのビザの発給を停止したとのこと。日本の新型コロナに関する水際対策に反応した形です。ビザとは元々 videre なる「見る」という意味のラテン語の過去分詞形だそうで、「既に見られた」、即ち「国によって既に検査され、入国を認められた」という意味のようです。

主権国家が誰を国に入れるかを決めるのは、当然の権利だとは思います。しかし国や民族は違うからこそ、コミュニケーションを続けることが大切で、それはやはり人と人の交流がその最も重要な基盤ですから、ドアを閉めるのは良くないと思います。日本が中国からの入国時に新型コロナ感染検査を導入したのは、中国がいきなりゼロコロナ政策を撤廃して爆発的に新型コロナ感染者が増えるも、その変異パターンのデータ開示・共有が行われないので、それならば水際でPCR検査をしなければならない、という論理です。

一方中国からすると、それを認めると、中国の自国民に対して、ゼロコロナ政策を撤廃したら新型コロナが爆発感染してることを認めることになるような含意があるので、これは日本による差別的な扱いであり、だから我々も報復するのだ、としたのかも知れません。要は中国政府にとって、いつも一番気になるのは、自国民が自分たち政府をどう見るかなのでしょう。でも国民に対する云い訳のために、国民の交流を制限するのはよろしくないと思います。

政治のレベルでの緊張や摩擦があっても、民間レベルでは常に交流を維持できることを願います。