【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 33,517.65  ▼112.96 (1/9)
NASDAQ: 10,635.65  △66.36 (1/9)

1.概況

先週末の米国市場は米雇用統計で平均時給の伸びが市場予想を下回り賃金インフレへの懸念が後退したことで大幅反発となりました。125ドル高でスタートしたダウ平均は朝方に67ドル高まで弱含みましたが、そこから切り返すと大きく上げ幅を広げ昼過ぎには630ドル高程度まで上昇しました。その後一旦伸び悩みましたが大きく押すことなく堅調に推移すると引けにかけて一段高となり結局700ドル高の33,630ドルで取引を終えています。また、S&P500株価指数も86ポイント高の3,895ポイントとなったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も264ポイント高の10,569ポイントとなっています。昨日の米国市場は高安まちまちとなりました。

ダウ平均とS&P500株価指数は利益確定の売りに押されて反落となりましたが、ナスダック総合株価指数は米雇用統計を受けて金融引き締め長期化への懸念が後退したことによる買いが続き続伸となりました。ダウ平均は33ドル高でスタートすると昼前に304ドル高まで上昇しましたが、その後伸び悩むと利益確定の売りが出て上げ幅を縮め取引終盤にマイナスに転じ結局112ドル安の33,517ドルで取引を終えています。また、S&P500株価指数が2ポイント安の3,892ポイントとなりました。一方でナスダック総合株価指数は66ポイント高の10,635ポイントとなっています。

2.経済指標等

先週末に発表された12月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比22万3000人増となり市場予想を上回りました。失業率も3.5%と前月から0.1ポイント低下し悪化を見込んでいた市場予想に反して改善しました。一方で平均時給は前月比0.3%増に止まり市場予想を下回っています。また、12月の米ISM非製造業景況感指数も49.6と前月から低下し景気の拡大と縮小の分岐点となる50を2020年5月以来2年7ヶ月ぶりに割り込み市場予想を下回りました。11月の製造業受注も前月比1.8%減となり市場予想を下回っています。さらに昨日に発表となった11月の米消費者信用残高は前月比279億6000万ドル増となり市場予想を上回りました。

3.業種別動向

先週末の業種別S&P500株価指数は11業種全てが上げました。そのなかでも素材が3%を超える上昇となったほか、情報技術と不動産も3%近く上げています。また、生活必需品と資本財・サービス、一般消費財・サービス、金融、公益事業も2%以上上昇しました。昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうちヘルスケアや生活必需品、エネルギーなどの6業種が下げ、ヘルスケアと生活必需品は1%以上下落しました。一方で情報技術や公益事業、素材などの5業種が上げ、情報技術は1%余り上昇しています。

4.個別銘柄動向

先週末の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄全てが上げました。そのなかでもインテル(INTC)とウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)が4%以上上昇したほか、ダウ(DOW)とボーイング(BA)も4%近く上げました。アップル(AAPL)とキャタピラー(CAT)、トラベラーズ(TRV)、ナイキ(NKE)、ビザ(V)、アムジェン(AMGN)、シスコシステムズ(CSCO)、セールスフォース(CRM)、スリーエム(MMM)も3%以上上げています。

ダウ平均構成銘柄以外ではバイオジェン(BIIB)が3%近く上げました。米食品医薬品局(FDA)がエーザイ(4527)と共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を承認したと発表したことを好感した買いが入りました。また、半導体株が高くクアルコム(QCOM)とウエスタンデジタル(WDC)が5%を超える上昇となり、テキサス・インスツルメンツ(TXN)も5%近く上げました。エヌビディア(NVDA)も4%以上上昇しています。

さらに半導体製造装置株も高く、アプライドマテリアルズ(AMAT)とラムリサーチ(LRCX)、KLA(KLAC)も6%以上上げています。昨日の米国市場でダウ平均構成銘柄ではセールスフォース(CRM)が4%を超える上昇となったほか、インテル(INTC)も2%高となりました。ゴールドマン・サックス(GS)も1%以上上げ、マイクロソフト(MSFT)とウォルト・ディズニー(DIS)も1%近く上昇しています。一方でメルク(MRK)が4%近く下落し、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)とトラベラーズ(TRV)、ボーイング(BA)も2%以上下げています。

ダウ平均構成銘柄以外では、テスラ(TSLA)が値下げにより中国の販売が回復するとの見方から6%近く上昇しました。配車サービスのウーバーテクノロジーズ(UBER)も投資判断の引き上げを受けて4%近く上げています。スポーツ衣料のルルレモン・アスレティカ(LULU)は2022年11月-2023年1月期の売上高総利益率の見通しを下方修正したことで9%を上回る下落となっています。

5.為替・金利等

先週末の長期金利は米雇用統計で賃金の伸びが市場予想を下回ったことで0.16%低い3.56%となりました。昨日の長期金利は0.03%低い3.53%となりました。ドル円は131円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

昨日の米国市場でダウ平均は反落となりましたが、先週末に大きく上げたことで2日間では587ドル高となっていることから本日の日本市場は上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の26,000円を超えてどこまで上値を伸ばせるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)