明けましておめでとうございます。
新しい年がやってきました。「2022年の忌々しいマーケットは終わった」と思っている投資家の皆さんも多いのではないかと思います。12月にはマーケットが期待していたクリスマスラリーも起きず1ヶ月間でS&P500は5.9%下落しました。
2022年を通して見るとS&P500は19.4%下落しましたが、下げたのは2018年振り、ここまで下げ幅の大きいのは2008年来のことです。2008年は金融危機の真っ只中、ベアー・スターンズ、リーマン・ブラザーズ、ワコビアといった歴史のある金融機関が破綻した年でした。
FRBの利上げ政策もそろそろ終焉期か
頑固なインフレを退治するためFRB(米連邦準備制度理事会)は徹底的な利上げを行い、10年債利回りのレベルも2022年の10月のピークには年初からほぼ3倍になりました。
残念ながら新しい年になったからと言って環境が変わるものではありません。2022年マーケットの注目であったFRBの利上げのスタンスは変わっていません。金融政策の方向性については、パウエルFRB議長が以前から述べているように、インフレ指標次第というデータドリブン(データに基づいての判断)のスタンスです。
しかし、FRBの利上げ政策もそろそろ終焉期に差し掛かっているのではないかと考えられます。このところ出てきている様々な指標を見てみますと、インフレというよりは、デフレを示している指標が多くなっているからです。例えば、コモディティ価格についても、ピークから大きく下がっているだけでなく、大半の指標が現在では年率でも下がってきています。FRBがインフレについて、もはや心配ないと判断すれば、利上げは止まり、マーケットは「利下げはいつになるか」を探りに行くことになります。そのような展開をマーケットは好感するでしょう。
1月半以降の2022年第4四半期の決算発表に注目
12月26日付のコラムで述べた通り、私は2023年の年末のマーケットは高く終わると思うものの、そこに辿り着くまでに乗り越えなければならない懸念材料がいくつかあります。企業業績もその大きな材料の1つです。市場のコンセンサスでは、2023年前半にリセッションが起きると予想されていますが、企業業績がどうなるかということです。米国市場では1月半ばから2022年第4四半期の決算発表が始まります。現時点での予想は前年同期比で2.63%の減益の見通しです。
9月末時点での第4四半期の業績予想は5.3%の増益でした。ですから3ヶ月間で7.93%の下方修正が起きたことになります。果たして、このような下方修正が起きたことで、現在のマーケットは既に業績の悪化を十分織り込んでいるのか、それとも業績の下方修正はこれからも続くのか、1月半ば以降の動きに注意が必要です。
※ 2023年1月10日は米国出張中につき、レポート更新は休載とさせていただきます。