ブログ「ねこのきまぐれブログ」で、自身の投資やお金との付き合い方を発信している個人投資家のねこまにあさん。銀行員として働き始めて2年目に起きたリーマン・ショックでの経験から投資方針を見直し、インデックス投資をスタートしました。相場の変動に振り回されず、ストレスフリーに投資を続けるコツについて、じっくりお話をうかがいました。

●ねこまにあさんプロフィール●
山形県出身、30代後半の主婦。積立投資歴15年。大学卒業後、地方銀行に就職。窓口での業務の他、投資信託や生命保険などの販売にも携わった後、一般企業に転職。現在は退職して、夫と子ども、猫とともに宮城県で暮らしている。ブログ「ねこのきまぐれブログ」にて、日々の出来事や資産形成について発信中。

リーマン・ショック目前に就職先で投資に出会う

――ねこまにあさんが、投資を始めたきっかけを教えてください。

新卒で就職した銀行では投信販売に力を入れていて、そこで投資を知ったことがきっかけです。「お客様におすすめするなら、自分でも資産運用をしましょう」という雰囲気が銀行内にありまして(笑)。当時はちょうどリーマン・ショック直前の時期で、ものすごく相場が良かったです。投信を購入したお客様も「利益が出た」とすごく喜んでくださる。「投資って面白いな」と思い、自分でもやってみようと思いました。

当時、退職した方などに人気だったのは、いわゆるグロソブ(グローバル・ソブリン・オープン)を中心とした毎月分配型のファンド。他にもブラジル、ロシア、インド、中国など高成長の新興国に投資する「BRICs投信」も一大ブームとなっていて、私も購入しました。10万円ほどの資金で始めましたが、当時はかなり値上がりしたことを覚えています。

資産半減後に始めたインデックス投資

――その後リーマン・ショックを経験されたのですね。

はい。入行して1年半ほど経ったタイミングでリーマン・ショックが起きました。「何を買っても上がる」ようなちょっとしたバブルを味わった後の暴落だったので、当時の印象は強烈です。私が保有していたBRICs投信も評価額が半減しました。リーマン・ショックで学んだのは「下落が継続する場合もある」ということです。

当時は政府や中央銀行など、世の中を動かせる立場の人たちがあらゆる手を尽くしても、なかなか下落は止まりませんでした。株価というものは、人の意思で動かせるものではない、ということを痛感しました。

――それでも「投資を続けよう」と思われたのはなぜでしょう。

少額だったとはいえ、やはり自分の資産が半減したことには大きなショックを受けました。口座を見ることもできず、投信を解約する勇気も出ませんでした。そんなときに出会ったのが上地明徳さんの『あなたにも5000万円貯まる信じられない「仕組み」』(小学館)という書籍です。

この本はちょうど、リーマン・ショックの時期に出版されたのですが、当時は今のようにインデックス投資は浸透していませんでした。それこそ『ウォール街のランダム・ウォーカー』(日本経済新聞出版社)のような分厚い翻訳本はありましたが、日本人の著者による、分かりやすくかみくだいたインデックス投資本はあまりなかったのです。

低コストのインデックスファンドは、いまほど広く知られていなかったんですが、上地さんの本を一読して目からウロコが落ちる思いでした。「コストの低い投資信託を長期でコツコツ積み立てていくことで、20〜30年先にはこんなにも資産が作れる可能性があるんだ」と驚きました。

インデックス投資について基本的な知識はありましたが、リーマン・ショックまではどちらかというと目先の利益を追う投資に目を向けていたこともあって、銀行で働いていた私にとっても斬新だったんです。「落ちるところまで落ちたのだから、この方法でもう一度試してみよう」と前を向けるようになり、本で紹介されていた低コストの投信の積立投資をスタートしました。


月5,000円から「ほったらかし投資」を実践

――どれくらいの金額から積立投資を始められたのですか。

まだ若くて給与が多くなかったこともあり、無理のない範囲で月5,000円からスタートしました。バランス型のファンドを選び、試しに始めてみました。その後、6年半勤めた銀行を退職して一般企業に転職。当時は仕事が忙しく、投資のことを気にする時間もなかったので、本当に「ほったらかし」だったんです(笑)。

その後、会社を辞めたタイミングで久々に口座をのぞいてみたら、思いのほか増えていてびっくり。このスタイルが自分に合っていることを実感して、積立投資を続けることにしました。

――現在のポートフォリオを教えてください。

月5,000円から始めた投資ですが、その後、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)など税制優遇制度を活用しながら投資額を少しずつ増やし、今は月4万円を投資に回しています。

現在保有している投信は、つみたてNISA口座の楽天・全世界株式インデックス・ファンドをはじめ、iシェアーズゴールドインデックス・ファンド、iFreeNEXT NASDAQ100インデックス。特定口座で個別株は、単元株としてオリックス(8591)を保有しています。このうち、楽天・全世界株式インデックス・ファンドに月3万円、任天堂(7974)と星野リゾート・リート投資法人(3287)を株式の定額積立投資のサービスを利用して月3,000円、iDeCoの枠で5,000円を積立投資しています。

現金比率は全体の4割程度でしょうか。生活費6ヶ月分を生活防衛資金としてキャッシュで確保しておき、それ以外に緊急時や急な出費に備えて50万円を手元に置いています。

【図表】リスク資産アセットアロケーション
出所:ねこまにあさん作成(2022年12月)

少額から始められて、毎月一定額の投資信託を買い付ける積立投資は、面倒くさがりやの私のニーズを満たし、ストレスフリーで続けられるスタイルだと思っています。

>> >>【後編】「情報との距離感がコツ」個人投資家ねこまにあさんのマイペースな投資にこだわる理由

※本インタビューは2022年11月17日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。