今週(12月2日~12月8日)の相場動向

相場回顧 BTC:FTXグループ破綻の余波が続き、軟調な展開

ビットコインはFTXグループ破綻の余波が続くなか軟調な展開となった。米11月雇用統計は市場予想を上回り、利上げ継続への懸念から米国株とともに下落した。またBNBチェーン上でトークンが不正発行される事件が起こり、アルトコインを中心に売りが強まった。しかし、米インフレ率が既にピークアウトしたとの見方もあり、BTC=233万円(17,000ドル)を挟んだもみ合いとなった。

ツイッターが独自コインを発行するとの報道が広がり、イーロン・マスク氏との関わりが強いドージコインが思惑的に急騰するなか、ビットコインも一時BTC=240万円(17,500ドル)付近まで上昇した。しかし、米11月ISM非製造業景況指数の堅調な内容を受けて米長期金利が上昇したことや、FTXグループ破綻の影響でDeFi関連プロジェクトが不良債権を抱えていることが判明したことで、たちまち下落した。

その後も、JPモルガンCEOによる暗号資産批判や、米暗号資産運用会社グレースケールへの訴訟、カナダ年金基金の暗号資産投資断念など悪材料が相次ぎ、売りが継続した。

 

来週(12月9日~12月15日)の相場予想

FTX公聴会と米FOMCに注目、BTCは買いに期待も上値は重いか

金融市場では米国におけるインフレおよび利上げのピークアウトが意識されている。来週は米11月消費者物価指数の発表を控える。前月に続いて伸びが鈍化した場合には買いが強まることも考えられるが、それに続く米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に市場の反応は限定的となるだろう。本命となるFOMCでは利上げ幅縮小が予想されており、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が会見で利上げ期間についてどのような印象を市場に与えるかに相場は左右される。利上げ幅縮小を受けて過度な期待が広がらないよう、市場を抑制する発言になると思われるが、それが予想よりもタカ派だった場合には売り優勢になることも考えられる。

暗号資産市場ではFTXグループ破綻の余波が続いている。来週は米下院で公聴会が開催され、FTXグループ前CEOであるSBFが出席する可能性が高いとされている。SBFは先週開かれたニューヨーク・タイムズ主催のイベントなどで公的なコメントを出しているが、いずれも事件について「故意ではない」と否定をしている。今回の公聴会においても新たな真相は明らかにならないかもしれないが、内容如何によらず、SBFが当局と対話するとの事実を市場が好感する可能性はあるだろう。ただし、暗号資産関連企業への影響が落ち着くまでは、FOMC後に米国株が上昇したとしても、なかなか買いが追随しづらいと思われる。

直近上値としてBTC=247万円(18,000ドル)、下値としてBTC=219万円(16,000ドル)を意識する。

※1ドル=137.00円で換算(執筆時)