11月の米国株式市場は堅調に推移

先週、S&P500は0.69%下げ、ナスダック100は1.18%下落して終わりました。前の週の11月10日にはCPI(消費者物価指数)が事前予想を下回ったことがきっかけで10年債利回りが下げに転じ、株価も大きく買われる展開となりましたが、その流れは翌週まで継続されませんでした。

先週11月17日(木)には米セントルイス連銀のブラード総裁が、インフレを鈍化させるため金融当局は政策金利を「最低」でも5-5.25%に引き上げるべきであり、十分抑制的な政策金利について5-7%程度になる可能性があるとコメントしたこともマーケットを下げるきっかけとなりました。

インフレがトレンドとして下がり始めたという確認は取れていないものの、11月に入ってからこれまでのところ米国株は堅調でS&P500は2.41%、ナスダック100は2.38%とそれぞれ上昇しています。

11月から季節的に米国株が強い時期に入ってきたことは繰り返し述べてきましたが、ここからマーケットが上昇するにはS&P500の次の上値抵抗線の4,100を越えなければなりません。

今週のマーケットの注目:小売企業の決算発表、ブラックフライデー

S&P500採用企業のうち476社(全体の95%)が第3四半期の決算発表を終えています。決算発表が本格化する10月の半ば時点での予想は前年同期比で2.2%だったのが、先週末時点では4.4%の増益予想と2ポイントほど事前予想を上回っています。つまり、事前予想ほどは悪くなかったということです。

先週は世界最大のホームセンター・チェーンであるホームデポ(HD)や世界最大のスーパーマーケット・チェーンであるウォルマート(WMT)の決算が発表されました。両社ともアナリストによる事前予想を上回り、株価は上昇しました。一方で、ディスカウントストアのターゲット(TGT)は事前予想を下回る決算で株価は大きく下がりました。また、先週アマゾン・ドットコム(AMZN)は1万人の人員削減を発表しました。

今週22日(火)には家電大手のベスト・バイ(BBY)、百貨店のノードストロム(JWN)、ディスカウントストア大手ダラー・ツリー(DLTR)などの小売企業の決算発表が予定されています。

また、今週24日(木)は米国では感謝祭ですが、その翌25日はブラックフライデーと呼ばれる小売店の大規模なセールが実施され、クリスマス商戦が始まります。米国の消費者の健全さや消費動向の行方が見えてくることとなるでしょう。

24日の感謝祭は米国株式市場も休場となりますが、この日は家族や親戚と集まり七面鳥を食べる日となっています。米国ファームビューロー連合によると、2022年の感謝祭のディナーの食材のコストは2021年と比べ2割上がっているそうです。七面鳥の値段が上がったので七面鳥の代わりに、鶏肉を食べる人も多いだろうと言われています。

米国株式市場では引き続きインフレの動向が注目されます。次の大きなイベントは12月の半ばに予定されている11月のCPI(消費者物価指数)の発表とその後のFOMC(米連邦公開市場委員会)となります。