今週(11月4日~11月10日)の相場動向
相場回顧 BTC:米中間選挙のさなかFTXショックにより暴落
ビットコインは、米10月雇用統計が利上げ継続を印象付けるほどの強い内容ではなかったことから、米国株とともに一時BTC=307万円(21,000ドル)付近まで上昇した。しかし、コインデスクがアラメダ・リサーチのバランスシートを一部リークし、同社および、その姉妹会社とみられる暗号資産取引所FTXの財務状況悪化が懸念されたことでたちまち売りが強まった。
11月7日には暗号資産取引所バイナンスの代表が「保有するFTTトークン(※)を売却する」と発表し、市場ではさらに動揺が広がった。11月8日には米中間選挙を前にしたリスクオフの売りも重なり、ビットコインはFTTトークンとともに下落した。11月9日にかけてはFTXが取り付け騒ぎのなか出金停止を発表し、流動性危機が現実味を帯びたことで大きく売られた。
バイナンスが救済的なFTX買収を検討すると発表したが、その翌日には買収方針を撤回し、FTXの破綻懸念も高まってBTC=226万円(15,500ドル)付近まで暴落した。その後、11月10日夜に発表された米10月CPIの伸びが予想を下回り、米国株の急騰とともにビットコインもBTC=263万円(18,000ドル)付近まで急回復した。しかし、米中間選挙やFTXショックを巡り先行き不透明感が強まるなか軟調な推移が続いている。
※FTXが発行する独自の暗号資産。取引所が発行し、取引所におけるユーティリティを備えていることから「取引所トークン」ともいわれる。
来週(11月11日~11月17日)の相場予想
米中間選挙の結果は来月に持ち越し、BTCはFTXショック後の影響に警戒
金融市場では米中間選挙の結果を巡って不透明な状況が続いている。開票前にはレッドウェーブが期待されていたが、接戦のなかジョージア州が12月決戦投票にもつれたことで、しばらくは市場全体で不安定な値動きになるだろう。来週は日欧の10月物価関連指標が発表されるが、どちらも相場への影響は軽微だろう。それよりは米中間選挙の結果に関する要人発言やメディア報道などによって相場は一喜一憂すると思われる。共和党勝利に対する期待が高まれば買いが強まると考えられる一方、民主党敗北によって米国への政情不安から短期的に売られる可能性もある。
暗号資産市場ではFTXとアラメダ・リサーチの財務状況悪化にともなう広範囲の影響が懸念されている。両社だけではなく取引先を含めて連鎖的な倒産が起きた場合、さらに暗号資産は売り込まれる。ソラナ(SOL)をはじめFTXと関わりの深いアルトコインは軒並み下落すると思われる。米国当局もFTX関連の調査を開始しており、実態が明るみになるにつれて相場は荒れることが予想される。FTXが破綻という結果に終わるか、あるいは救い手となる大企業が現れるか、いずれにせよ今回の騒動が収束するまでは暗号資産の底は見えないだろう。
直近上値としてBTC=263万円(18,000ドル)、下値としてBTC=204万円(14,000ドル)を意識する。
※1ドル=146.00円で換算(執筆時)