今日は皆既月食。月が地球の影にすっぽりと隠れる現象です。李白は月下独酌で月と自分と自分の影を歌いましたが、今日は太陽と地球と地球の影が演者です。

月下独酌の冒頭の四句。
【花間一壷酒 独酌無相親 挙杯邀明月 対影成三人】
(かかんいっこのさけ ひとりくんであいしたしむなし はいをあげてめいげつをむかえ かげとたいしてさんにんとなす)
「花が咲き乱れる脇に酒の瓶を持ち出し、一人で酌して飲むが相伴する者もいない。そこで杯を挙げて明月を酒の相手に迎え、月と私と私の影で三人となった。」

そして後半途中の四句。
【我歌月徘徊 我舞影凌乱 醒時同交歓 酔後各分散】
(われうたえばつきはいかいし われまえばかげりょうらんす さむるときはともにこうかんし ようてのちはおのおのぶんさんす)
「私が歌えば月は徘徊し、私が舞えば影は乱れる。酔いがまわる前は一緒になって楽しみ、酔い潰れれば3人とも元の姿に戻っていく。」

いい歌ですね。今宵は李白の気持ちになって、月と太陽と地球の間に彷徨う自分をイメージして、杯を挙げたいと思います。