先週は中国の経済指標の発表がありました。2012年第3四半期の中国国内総生産(GDP)は前年同期比7.4%増となり、第2四半期の7.6%増から小幅に伸び幅は減少したものの、ほぼ事前の市場予想通りでした。このため中国経済はようやく最悪期を乗り越え、これまでに実施されてきた金融緩和やインフラ投資計画の承認を材料に、第4四半期から緩やかに回復するとの見方が強まっています。

GDPの他にも中国経済の底入れを予感させる内容の経済指標が出ています。まず、9月の輸出は前年同月比9.9%増となり、これは8月の2.7%増を大きく上回ったばかりか市場予想の5.0%増も大きく上回る内容でした。また、9月の鉱工業生産は9.2%増(8月は8.9%増、市場予想は9.0%増)、1-9月の都市部固定資産投資は20.5%増(1-8月は20.2%増、市場予想も20.2%増)といずれも前月までの伸び率や予想を上回る内容でした。これらの中国経済の回復期待を背景に、香港市場ではハンセン中国企業株指数(H株指数)やハンセンレッドチップ指数が大きく上昇しています。

ただし、上海総合指数と深セン総合指数は依然として低調な状況が続いています。香港市場ではあまり材料になりませんでしたが、中国商務省の報道官が中国の輸出が改善してきたとするには時期尚早だと述べたことや、中国の金融機関を除く国有企業の第1-3四半期までの合計利益が前年同期比11.4%減と、1-8月までの12.8%減よりは改善したものの足もとの企業業績はまだ回復を示す物になっていないことが株価の足をひっぱっていると考えられます。また、共産党大会を控えていますが、政権交代前には政治的な意向で株価が上下動しない傾向があると見る向きもあるようです。ただし、逆に言えば11月の共産党大会後は期待感が持てるとも言え、上海総合指数と深セン総合指数が反発するようであれば、香港株も一段勢いがつく可能性があります。