米ドル/円 日足

週間予想レンジ:145.00~150.50

メインストラテジー:レンジ取引

・拮抗の局面へ
・米金利は低下
・投機の思惑とは

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週保ち合いで一旦145円関門を試したものの、底堅く推移し、レンジ変動の様子を一層強めた。10月21日の介入は、米長期金利低下のタイミングを狙っただけに、投機筋の逆張りを押さえ、拮抗局面になりやすいため、しばらくレンジ変動に留まる公算が大きい。

振り返ってみると、先々週一旦大きく続伸し、32年ぶりの高値を再度更新、一時151.96円まで上昇したが、我々が提示したターゲットを見事にクリアしたわけで、その後日銀の再度介入で大きく反落した。言ってみれば、ロング筋の目標達成感を狙った介入であったともいえ、介入自体が成功した可能性が大きい。

ロング筋の目標達成感は、やはりテクニカル上の視点から得られた。9月22日の大陰線を中心に形成した「Ioiのサインである。9月22日高値の更新が確認された以上、同日値幅の「倍返し」で計算すれば、151円台半ばの打診が推測されていた。同ターゲットをクリアした後の介入だったことに鑑み、計算された根拠が明らかであった。

さらに、2011年円の史上最高値から2015年の円安値まで、円安の値幅は約50円だった。今回の円安起点は、2021年年初の102円台から測られ、同じく50円の値幅なら、152円大台が究極のターゲットとして浮上していた。そのターゲットに近づいていたわけで、ロング筋は目標達成感に乗った介入だったと理解される。

その上、10月21日の介入がなければ、10月5日から、日足において「13連陽」(連続13取引日における陽線引け)を形成される可能性もあった。「13連陽」は統計上あまり前例がなかった。そのため、介入後一旦146.21円の安値を付けたため、高値から測ると最大7円の変動幅もあった。これは9月22日の変動幅を超えた値動きで、当面存在感を発揮してくることもあり、しばらく高値更新の可能性を後退させた。

言ってみれば、確かに米ドルの押し目買いの意欲がなお盛んであったが、10月24日も覆面介入があったと推測され、投機筋の思惑が外れやすかった。従って、10月24日の大陽線に続き、10月25日、26日は共に陰線で大引け、また日足における「インサイド」を形成し、10月27日に一旦下放れしたのも自然な成り行きであった。

その一方、日米金融政策の違いで米ドルの下値限定というか、積極的に円を買う理由も見つからないため、円の主体性が発揮される市況には程遠く、10月24日の下値トライがあっても145円関門を下回らず、また再度切り返してきたことも想定しやすかった。9月22日の大陰線は、一転して支持ゾーンを示唆する存在となり、しばらく米ドルの下値を支えるだろう。

今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、無風通過になりやすいだろう。米長期金利の頭打ちがこれからも確認できれば、介入成功の可能性に鑑み、米ドルの上値を積極的に追っていく投機筋の動きも鎮火してくるだろう。あくまでレンジ取引の一環として対応したい。

豪ドル/円 日足  

週間予想レンジ:94.00~97.50

メインストラテジー:押し目買い

・中段保ち合いへ
・豪ドルは出遅れ
・地合いは堅調

【図表2】豪ドル/円(日足)  
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週保ち合いを維持しながら、堅調な地合いを維持した。週足では、先々週の足型に続き、「インサイド」のサインを形成しているが、先々週の調子を踏襲したと見なされるため、先週の見方をこのまま維持していきたい。

というのは、先々週波乱したものの、結局大陽線を形成し、10月13日の底打ちを証明した。日銀介入など大きな材料があったが、豪ドルの優位性が発揮され、また基調の改善がむしろ確認されたことで、本来一段上値トライがってもおかしくなかった。

10月13日のサインは重要であった。同日一旦90.82円をトライしたものの、強気で切り返し、日足では「スパイクロー」の陽線をもって「強気リバーサル&アウトサイド」のサインを形成、底打ちを示唆した。先々週でも日銀の大規模介入を想定していたが、結果的に同日のサインを強化することとなり、ブル基調への復帰を一段と印象付けた。

32年ぶりの高値を一旦更新した米ドル/円に比べ、豪ドル/円は大きく出遅れた。その大きな背景として、米ドル全面高の中、豪ドルの優位性が試されてきた経緯があった。さらに、年初来高値更新を果たしたユーロ/円や英ポンド/円に比べ、豪ドル/円の出遅れも鮮明であり、これから挽回されるだろう。

なにしろ、豪ドルの優位性はなお健在である。豪ドル対米ドルの反落が大分続いてきたものの、水準的にはなおコロナショック直後の安値より大分上に位置し、「底割れ」を果たしたユーロや英ポンドに比べ、豪ドルがむしろ堅調であることが確認できるため、豪ドルの優位性がなくなったわけではない。豪ドル対円の強気変動は、これから強化されるだろう。

先週の値幅が限定だったとはいえ、先々週の値動きに続き、上値志向自体が維持された。10月6日の大陰線が「弱気リバーサル」のサインを点灯し、同日高値を一旦回復すれば、ブル基調への復帰を示唆するサインとして点灯したと見なされる。また、9月22日大陰線を「否定」、即ち同日高値の96.34円を再度クリアしたことを先々週に一旦確認したため、これから上値志向を強めていくだろう。

言ってみれば、先週値幅限定したものの、一旦上放れした地合いを踏襲したため、目先の保ち合いは必要以上に解釈しなくても良い。10月24日からまた大きな「インサイド」を形成してきたが、遅かれ早かれ上放れを果たし、97円関門の再打診やブレイクをもってさらなる上値余地を拡大するだろう。

9月22日は日銀介入日であっただけに、日足における「弱気リバーサル」のサインとしてより支配力があるとみるが、紆余曲折でも同日下落幅を帳消ししていくと推測される。他の主要クロス円に比べ、すでに出遅れている豪ドル/円は、年初来高値の再更新が有力視されるため、押し目買いのスタンスは不変である。