【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 29,202.88  ▼93.91 (10/10)
NASDAQ: 10,542.10  ▼110.30 (10/10)

1.概況

先週末の米国市場は米雇用統計で失業率が3.5%に低下するなど労働市場の過熱感が依然として強いことが示されたことで米連邦準備理事会(FRB)が積極的な金融引き締めを続けるとの見方が強まり大幅に3日続落となりました。241ドル安でスタートしたダウ平均は一日を通して下げ幅を広げ取引終盤に784ドル安まで下落した後、引けにかけてやや持ち直したものの結局630ドル安の29,296ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も420ポイント安の10,652ポイントとなり4%近い下落となっています。

昨日の米国市場はFRBによる積極的な金融引き締めを警戒した売りが続き4日続落となりました。122ドル高でスタートしたダウ平均は朝方に189ドル高まで上昇した後伸び悩むとまもなくしてマイナスに転じ昼過ぎに286ドル安まで下落しましたが、持ち直すとその後は前日の終値を挟んで一進一退の展開となりました。結局ダウ平均は93ドル安の29,202ドルで取引を終えています。また、ナスダック総合株価指数も110ポイント安の10,542ポイントとなり9月30日に付けた年初来安値(10,575ポイント)を更新しています。

2.経済指標等

先週末に発表となった9月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比26万3000人増と8月の31万5000人増から伸びが鈍化し市場予想も下回りました。一方で失業率は3.5%となり8月の3.7%から横ばいとみていた市場予想を下回り改善しました。また、8月の米卸売在庫は前月比1.3%増となり市場予想と一致しました。米卸売売上高は前月比0.1%増に止まり市場予想を下回っています。8月の米消費者信用残高は前月比322億4000万ドル増となり市場予想を上回りました。

3.業種別動向

先週末の業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも情報技術が4%余り下落したほか、一般消費財・サービスも3%を超える下げとなり、コミュニケーション・サービスも3%近く下落しています。
昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち7業種が下げ、エネルギーが2%安となったほか、情報技術と不動産も1%を超える下落となりました。一方で資本財・サービスや生活必需品などの4業種が上げています。

4.個別銘柄動向

先週末の米国市場でダウ平均構成銘柄はメルク(MRK)を除く29銘柄が下げました。そのなかでもインテル(INTC)とウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)、マイクロソフト(MSFT)が5%を超える下落となったほか、アップル(AAPL)とナイキ(NKE)、セールスフォース(CRM)、スリーエム(MMM)、シスコシステムズ(CSCO)も3%以上下げました。ダウ平均構成銘柄以外でも主力ハイテク株の下げが目立ちテスラ(TSLA)とネットフリックス(NFLX)が6%を超える下落となり、アマゾン・ドット・コム(AMZN)とフェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(META)も4%以上下げました。
半導体株も安く7-9月期の決算速報値で売上高や売上高総利益率などが従来示していた見通しを下回ったアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が14%近く下落し、エヌビディア(NVDA)も8%安となりました。クアルコム(QCOM)とウエスタンデジタル(WDC)も3%以上下げ、マイクロン・テクノロジー(MU)も3%近く下落しています。

昨日の米国市場ではバイデン米政権が半導体の先端技術の中国への輸出規制の強化を発表したことで半導体関連株の下げが目立ちました。半導体製造装置ではラムリサーチ(LRCX)が6%を超える下落となり、アプライドマテリアルズ(AMAT)とKLA(KLAC)も4%以上下げました。半導体株ではクアルコム(QCOM)が5%を上回る下落となり、エヌビディア(NVDA)とウエスタンデジタル(WDC)も3%以上下げました。マイクロン・テクノロジー(MU)も3%近く下落しています。
また、投資判断と目標株価の引き下げを受けてフォード・モーター(F)とゼネラル・モーターズ(GM)が安く、フォード・モーターが7%近く下げ、ゼネラル・モーターズも4%近く下落しています。一方で投資判断の引き上げを受けて医薬品のメルク(MRK)が3%以上上げています。

5.為替・金利等

先週末の長期金利は9月の米雇用統計で労働市場の強さが示されFRBが積極的な利上げを続けるとの見方が強まり0.06%高い3.88%となりました。また、昨日の米債券市場は休場でした。ドル円では円安が進み145円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場が続落となり、ダウ平均が先週末と昨日の2日間で720ドル以上下げたことから下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の27,000円を割り込みそうで、朝方の売り一巡後に下げ渋るような動きをみせるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)