モトリーフール米国本社、2022年9月27日 投稿記事より

主なポイント

・市場の下落は、長期的視点を持つ投資家にとって好機となっている
・アマゾン・ドットコムのクラウド事業は成長を維持する見通し
・チューイーはオンライン購入のトレンドに乗じる絶好のポジションにいる

株価は低迷しているが、成長見通しは依然として魅力的な2銘柄

米国株式市場を幅広く網羅するラッセル3000指数は年初来で約22%下落しており、市場が荒波に見舞われていることは、もはや否定できません。特に苦戦しているのがグロース株で、ラッセル3000グロース指数は28%の下落となっています。

しかし、長期投資家であれば、これを買いの好機ととらえるはずです。以下の2銘柄は、株価が大幅に下落していますが、いずれも将来性があり、真剣に検討する価値があるかもしれません。

アマゾン・ドットコム

アマゾン・ドットコムは、1994年にオンライン書店として設立されて以来、驚異的な成長を遂げています。1997年の株式公開以降、株価も飛躍的に上昇し、株主に多大なリターンをもたらしていますが、2022年に入ってからは低迷しており、32%ほど下落しています。

株価低迷の一因に、最近の収益性の低下があります。2022年第2四半期の営業利益は、前年同期の77億ドルから33億ドルに減少し、会社側はコスト増を理由に挙げました。同社は第3四半期の営業利益について、前年同期の49億ドルから35億ドルに減少し、最終損益はゼロになると予想しています。

とはいえ、売上高が成長し続けているのは好材料です。第2四半期売上高は、前年同期比10%増(為替の影響を除く)の1,212億ドルとなりました。会社側は第3四半期に同17~21%の増収(同)を見込んでいます。経営陣は生産性を重視すること表明しているため、結果的に収益性も向上するはずです。

アマゾン・ドットコムの今後の成長のカギを握っているのは、クラウドコンピューティング事業のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)です。AWSは33%の市場シェアを誇り、マイクロソフトのアジュールやアルファベットのグーグル・クラウドを抑えて市場をリードしています。データセンターの構築と維持には莫大なコストがかかるため、新たな企業が市場に参入するのは困難です。

AWS事業は急成長しており、第2四半期の売上高は前同期比33%超増加して197億ドルでした。一方、北米事業の売上高は同10%増、海外事業は減収でした。

また、AWSは他の2事業よりもはるかに高い利益率を維持しています。第2四半期の営業利益率は、前年同期の28.3%から29%に上昇しました。AWSの見通しに陰りはなく、アマゾン・ドットコムの成長ストーリーは今後も活気に満ちていると思われます。

チューイー

チューイーも急成長企業であり、特にペットの飼育数が急増したパンデミックの期間中は目覚ましい成長を遂げました。株価は2020年に210%上昇しましたが、2022年に入ってから46%超下落しており、株主を失望させています。

しかし、同社の長期的な成長見通しは、引き続き堅調です。今年度第2四半期(5-7月期)の売上高は、前年同期比12.8%増の24億ドルでした。1年前の27%増と比べると伸び率は鈍化していますが、パンデミックをきっかけとしたペット受け入れとオンライン購入のトレンドは、依然として追い風となっています。

また、チューイーの売上総利益率は27.5%から28.1%に上昇しました。つまり、売上を伸ばすために、過度な値引きを行っていないということです。それどころか、同社はコスト上昇分を上回る値上げを実施しています。アクティブユーザー数は2%超増加して2,050万人となり、これは同社の成長が単にパンデミックの影響だけではないことを示しています。

人々のペットへの愛情を後ろ盾に、チューイーは、たとえ経済が不況に陥ったとしても、好調な業績を維持できる位置にあります。経営陣は以前、2008~2010年の不況期に個人消費は全体的に減少したものの、ペット関連支出は12%増加した点を指摘しました。

ペット産業は成長を続けています。調査会社パッケージド・ファクトによれば、業界全体の売上高は、2015年の770億ドルから2021年には1,170億ドルに増加し、今後も2025年にかけて年率7.5%の成長が続く見通しです。この間、Eコマース売上はさらに急速なペースで伸び、ペット用品売上に占めるEコマースの割合は、2015年は8%でしたが、2021年には35%に達しています。ペット業界におけるEコマースのリーダーであるチューイーは絶好のポジションにいると言えます。

アマゾン・ドットコムとチューイーは、投資家にまたとない買い場を提供しています。両社の株価は年初来で下落しており、バリュエーションは良好です。アマゾン・ドットコムの株価売上高倍率(PSR)は2.4倍と、3.2倍をはるかに上回っていた年初から低下しています。チューイーのPSRも、年初の約3倍から、現在は1.4倍となっています。

今後も力強い成長が見込まれる企業の株価が下落している時は、銘柄を研究する好機でもあります。このチャンスをうまく利用すれば、5年後に、今を振り返って大満足しているかもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。アマゾンの子会社であるホールフーズ・マーケットのCEO、John Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Lawrence Rothman(CFA協会認定証券アナリスト)は、記載されているどの銘柄にもポジションを保有していません。モトリーフール米国本社はアルファベット(クラスA)、アルファベット(クラスC)、アマゾン・ドットコム、チューイー、マイクロソフトの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。