【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 30,183.78 ▼522.45 (9/21)
NASDAQ: 11,220.19 ▼204.86 (9/21)
1.概況
米国市場はFRBがFOMCで通常の3倍にあたる0.75%の利上げを決めたうえ、2023年末の政策金利の見通しが市場予想を上回るなどインフレ抑制に向けFRBが今後も利上げを続ける方針を示したことで、一段の金融引き締めが米景気の悪化を招くとの懸念が強まり景気敏感株を中心に売りが出て大幅続落となりました。113ドル高でスタートしたダウ平均は午後のFOMCの結果発表まで堅調に推移しましたが、FOMCの結果発表を受けて乱高下の展開となりました。FOMCの結果発表直後に300ドル安近くまで下落したダウ平均はパウエルFRB議長の会見が始まると一旦切り返し314ドル高まで上昇しました。しかし、引けにかけて急速に上げ幅を縮めマイナスに転じ下げ幅を大きく広げると結局522ドル安の30,183ドルとほぼ安値引けで取引を終えています。
また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も204ポイント安の11,220ポイントとなっています。
2.経済指標等
米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の0.75%引き上げを決めました。また、ドットチャートによる政策金利の見通しでは2022年末が4.375%と前回6月の3.375%から引き上げられ、2023年末も4.625%と前回の3.75%から上方修正されました。したがって年内に開く11月と12月のFOMCで合計1.25%の利上げを見込んでいることになるうえ、2023年末も市場予想を上回る水準となっています。さらに2024年末も3.875%と前回の3.375%から引き上げられましたが、2024年は0.75%の利下げを想定していることになり、新たに発表された2025年末の見通しが2.875%となったことで2025年は1.0%の利下げを想定していることになります。
8月の米中古住宅販売件数は年率換算で前月比0.4%減の480万戸となりましたが市場予想を上回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも一般消費財・サービスとコミュニケーション・サービス、素材、金融が2%以上下落しています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄はウォルマート(WMT)を除く29銘柄が下げました。そのなかでもキャタピラー(CAT)とアメリカン・エキスプレス(AXP)が3%を超える下落となったほか、JPモルガン・チェース(JPM)とウォルト・ディズニー(DIS)も3%近く下げました。ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)とビザ(V)、ナイキ(NKE)、トラベラーズ(TRV)、ダウ(DOW)、シスコシステムズ(CSCO)、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)、アップル(AAPL)も2%以上下落しています。
ダウ平均構成銘柄以外では主力ハイテク株の下げも目立ちテスラ(TSLA)が8%近く下げ、ネットフリックス(NFLX)も6%近く下落しました。フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(META)も4%近く下げ、アマゾン・ドット・コム(AMZN)も3%以上下落しています。また、FRBの大幅利上げによる景気後退懸念が強まったことで旅行・レジャー関連株が安く、アメリカン航空グループ(AAL)とユナイテッド航空ホールディングス(UAL)が5%を超える下落となり、デルタ航空(DAL)も5%近く下げました。クルーズ船株も安くカーニバル(CCL)が7%近く下落し、ロイヤル・カリビアン・クルーズ(RCL)も5%以上下げています。さらにホテルチェーンのマリオット・インターナショナル(MAR)や旅行予約サイトのエクスペディア(EXPE)も5%を上回る下落となっています。
一方で食品のゼネラル・ミルズ(GIS)が決算で1株利益が市場予想を上回ったうえ、通期の見通しを上方修正したことで5%を上回る上昇となっています。
5.為替・金利等
長期金利はFRBの利上げ継続による景気悪化懸念が強まり0.03%低い3.53%となりました。しかし、政策金利を反映しやすい2年債利回りは一時0.15%高い4.12%と15年ぶりの高水準を付ける場面がありました。ドル円は144円近辺で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の27,000円を維持できるかがポイントとなりそうです。また、本日は金融政策に変更はないとみられますが昼頃に日銀の金融政策決定会合の結果が発表される予定で注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)