今週は、米国、日本、英国、スイスなどで政策金利の発表が予定されています。米欧の主要な中央銀行が利上げを加速することが予想されています。マーケットは9月20-21日に予定されているFOMC(米連邦公開市場委員会)での0.75%の利上げをほぼ織り込んでいます。一部の強気な予想では1.00%の利上げ観測も出てきているぐらいです。

日銀を除くほぼ全ての中央銀行が利上げに踏み切っており、世界的な金融引き締めの局面が続きます。このような局面は、暗号資産市場にとってもネガティブです。暗号資産市場は踏ん張りを見せていますが、買いが入りにくい状況になっています。

BTC(ビットコイン)、断続的な売り続く

【図表1】BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

BTC/JPY日足チャート分析です。

先週月曜日(9月12日)から断続的に陰線が続き、9月からの上昇を全て帳消しにする格好となりました。昨晩(9月19日夜)安値を更新し、下ヒゲを残した陽線でクローズしています。なんとも難易度の高い相場です。

先週の値動きを経て、移動平均線は3本とも収束しつつも、下からSMA7→30→90の順に並んでいます。MACDも陽転しそうで、再びマイナス圏に逆戻りとなりつつあります。

9月19日は下ヒゲの長い陽線で終えましたが、今週のイベントを考慮しますと再び下方向に売り圧力がかかることが予想されます。買い目線から再び下落方向の目線に切り替えたいと思います。

SMA30(1ヶ月移動平均線)付近が今週の高値と考えており、戻り売り戦略で下方向を狙ったトレードが良いように感じます。

【図表2】BTC/USD 日足チャート
出所:Trading View

ドル建てでチャートを見てみましょう。2022年の最安値が17,500ドル相当ですので、あとわずか2,000ドルほど下がると安値を更新することになります。まだ安値まで10%ほどありますが、直近の流動性から考えますと、1日で到達する水準だと思われます。(※例えば、この週末1日で1,000ドル下落し、1,000ドル上昇しました。マーケットがかなり薄くなってきている証拠です)

ボトム圏で横ばいの推移が長くなっているため、反発の余力が徐々に薄れてきているように感じます。また、3ヶ月間しっかりとレンジ相場を作ったため、逆張りの買いポジションもほとんど含み益のない状態でしょう。

底割れとなれば、再び売りトレンドが強めに出ると予想します。今週は弱気なムードをもたらすイベントが多く予定されており、テクニカル的にも苦しい形状になりつつあるので、買い戦略については、様子見が良いのではないでしょうか。

ETH(イーサリアム)、「マージ」完了も下落

【図表3】ETH/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

続いて、ETH/JPY日足チャート分析です。

先週、ETHの大型アップデート「The Merge(マージ)」が無事完了しました。これにより、イーサリアム・ネットワークのコンセンサスアルゴリズムがプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へと移行され、マイニング総量も9割以上削減されました。アップデート完了後4日間で約3,000ETHほど供給量が増えており、1日平均700-800ETHと大幅な減少傾向が見られます。つまり、1日あたり12,500ETH相当のETHが市場に供給されていましたが、そのマイニング量が90%以上も削減されているのです。

これにより需要が大きく上回ることが予想されましたが、市場は売りで反応しました。「セル・ザ・ファクト(事実で売り)」が出たのだと思います。

また、ETHのアップデート完了と同時に残存したPoWチェーンを分岐した「EthereumPoW(ETHW)」が始動しました。おそらくこのフォークコイン目当ての買いが多く入っていたのでしょう。2017年にBTCがBTCとBCHに分岐した際には、10%程度のBCHが市場に出現し、話題となりました。当時BTC保有者は、10%相当の資産が増えたわけです。

当時の経験もあり、ETHWへの期待から投資が増えていたのだと思われます。結果的に、このETHWのコインはETH保有量に対して1-2%程度の金額しか割り当てられませんでした。これは市場に失望感をもたらしたように感じます。

このような背景からここしばらく堅調に推移していたETHに強めの売りが入りました。まだ一部の売り玉が残っていると思われますので、もう一段深い押し目買い戦略を意識したいところです。

さて、テクニカル分析です。18万5000円付近で一旦サポートされた形なりました。しかし、再度下値トライとなれば、ここを割り込んでくるでしょう。

冒頭で述べた通り、今週は主要な中央銀行による政策金利の発表が予定されており、中期的な見通しも出てくるでしょう。特にFOMCで発表される見通しが重要です。そこでおそらく11月や12月、2023年も利上げ継続の見通しが発表されるのではないかと考えています。つまり私は市場予想よりもタカ派寄りの見方をしています。

利上げ継続の方針が示されれば、18万5000円のサポートを割り込み、15万円方向に向かうことが予想されます。その場合は、打診買い程度から様子をみると良いのではないでしょうか。

今週はFOMCを控え、BTC、ETHともに基本的に様子見の姿勢です。ETHについては大幅下落があれば押し目買いを検討する戦略をご紹介しました。