モトリーフール米国本社、2022年9月11日 投稿記事より
主なポイント
・マイクロソフトは、ヘッドセットで220億ドルの契約を受注済み
・アップルは膨大な数のARアプリを取り扱っており、ヘッドセットの発売も近い可能性
・投資家は、市場の成長を辛抱強く待つ必要がある
マイクロソフトとアップルは、新領域である仮想世界に独自のやり方で臨んでいる
仮想現実(VR)市場はまだ初期段階にありますが、消費者や企業向けのVR市場規模が今後3年以内に250億ドルに達すると推定されることから、広範囲にわたるハイテク業界において、重要なセグメントとなる可能性を秘めています。
マイクロソフトとアップルは、この成長市場で成功する可能性が高いと見られています。両社はすでに、独自の方法でVR市場と拡張現実(AR)市場に深く入り込んでおり、先行者利益を享受できるとみられます。以下で詳しく見てみましょう。
マイクロソフトのヘッドセット
他の多くのハイテク企業と同様に、マイクロソフトも自社でAR/VRヘッドセットを開発しています。しかし、多くの競合製品と異なる点として、マイクロソフトのヘッドセット「Hololens(ホロレンズ)」は、すでに実世界のアプリケーションで活用されています。
製造業やヘルスケア企業がホロレンズを使って従業員のトレーニングを行うなど、ホロレンズはマイクロソフトの自社アプリの他に、すでに200種類もの外部アプリと提携しています。
中でも、ホロレンズの最も注目すべき使用事例は、米国陸軍でしょう。マイクロソフトは現在、ホロレンズ12万台で、総額約220億ドルの契約を米陸軍と結んでおり、先日、初回納入分として5,000台を出荷しました。
米国陸軍に納入されるデバイスは、ホロレンズをベースに専用に開発された統合視覚増強システム(IVAS)と呼ばれるヘッドセットで、マイクロソフトのクラウドサービス「アジュール」を利用して特定のセンサーデータを監視・表示することができます。
当然ながら、マイクロソフトの目的は、ホロレンズを軍隊に配備してもらうことだけではありません。今回の受注によって、ホロレンズに実用性があり、マイクロソフトが大型契約になる可能性のある契約をすでに受注していることが示されました。他のハイテク企業で、現時点でこのような受注を獲得している企業はほとんどありません。
さらに、マイクロソフトがホロレンズとアジュールの相性の良さをアピールすることができれば、ホロレンズの利用拡大は、すでに成功している同社のクラウドサービス事業にとって、さらなる追い風になるかもしれません。
アップルのARの野望
アップルは、AppストアにARアプリを導入することで、すでにAR/VR分野に進出しています。現時点で、アップルのモバイルOSで動作するARアプリは1万4,000種類以上ありますが、アップルはまだスタートを切ったばかりです。
同社はAR/VRヘッドセットを開発中で、取締役会ではお披露目が済んでいると報じられています。実際の発売時期は不明ですが、このことは、発売が近いことを示唆しています。
アップルは特に、ソフトウェアとハードウェアを結び付けることを得意としています。ヘッドセットの発売が近いことを示すもう1つの証拠として、リークされたソースコードから、同社がRealityOSと呼ぶ基本システムに取り組んでいることが明らかになっており、これはAR/VR向けOSを指していると思われます。
アップルがヘッドセットを発売した場合、発売からわずか5年でヘッドセットの売上は180億ドルに達すると予想するアナリストもいます。
最新の予測では、アップルのAR/VRヘッドセットは2022年末か2023年には発売されるとの見方もあり、同社がAR/VR市場に真っ向から挑むのを目にするのもそれほど遠くないかもしれません。
仮想現実の市場にはまだ忍耐が必要
マイクロソフトとアップルがARとVRから恩恵を受ける可能性は大いにありますが、投資家がそれを実感するには忍耐が必要になりそうです。
これらのハイテク分野はまだ初期段階であり、マイクロソフトやアップルの売上高や利益に直接貢献するようになるには、あと数年はかかると思われます。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Chris Neigerは、アップルの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアップルとマイクロソフトの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは以下のオプションを推奨しています。アップルの2023年3月満期の120ドルコールのロング、アップルの2023年3月満期の130ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。