8月25日から27日にジャクソンホール会議が開催されます。その中で26日(金)にはパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演が予定されています(日本時間23時)。この講演では、中期的な金融政策に関するメッセージが出ることが多く、世界的に注目されるイベントです。

今回の会議について、タカ派発言を予想する記事が比較的多いように感じます。今週は強い米ドル買いで推移しそうです。その場合、暗号資産や株式市場にとっては上値が重くのしかかる展開となるでしょう。

2021年、米国のインフレは一過性という見方で市場は落ち着いていました。しかし、1年後の現在、約40年ぶりのインフレに見舞われ、コロナ禍における金融緩和の副作用が生じている状況です。株式市場も2022年上半期は大きく崩れており(ここ1ヶ月ほどは上昇基調に回帰していますが)、このイベントを機に再び下落するかもしれません。

9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)でも大幅な利上げが予想されています。暗号資産市場にとって上値が重くなるようなイベントが続く見通しです。

イーサリアムの大型アップデート「The Merge」への期待感から暗号資産市場は全体的に反発していましたが、ここへきて陰りを見せるかもしれません。

では、チャートを見ていきましょう。

BTC(ビットコイン)、SMA30を割り込む展開

【図表1】BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

まずはBTC/JPY日足チャートです。

SMA90(3ヶ月移動平均線)を突破し、ここからの上昇加速を期待した矢先の急落でした。明確にSMA30を下抜けてしまいました。285万円前後のサポートラインと335万円のレジスタンスラインのレンジ相場に移行でしょうか。

285万円を割り込んだ場合、多くの市場関係者が諦め、投げが強めに入ると予想します。その場合、損切り注文を置き、しばらく様子を見た方が良いでしょう。価格が上昇して戻るタイミングを意識するなら、SMA30付近ではないでしょうか。価格帯は、305-310万円を予想します。今週、この価格帯に戻るタイミングがあれば、ポジションを半分程度落としてキャッシュ比率を高めたいイメージです。

ETH(イーサリアム)、上昇ウェッジ下抜けで地合い悪化

【図表2】ETH/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

続いてETH/JPY日足分析です。

BTCよりも勢いよく上昇していましたが、先週はBTC以上に大きく下落しました。上昇ウェッジを下抜けており、さらにSMA30も下抜けている状況ですので、上がったところでまだ売りが出てくるでしょう。

私自身にとってもこの急落は想定外でした。戻ったところで少しずつ売ってポジションを縮小していきたいと考えています。

日足レベルですと、SMA30まで回復するならポジションを縮小したいところです。SMA90まで下押しする場合は、再度押し目買いを狙っていくイメージです。先にSMA90で下押しした場合の押し目買いは見送りたいと思います。

4時間足でもう少し詳しく見ていきましょう。

【図表3】ETH/JPY 4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

4時間足でもSMA30が下落しており、この1−2日後には、23万円付近で推移し始めそうです。日足のSMA30ともしっかり重なることから、このタイミングでは一度、逃げておきたいところです。

MACDがゴールデンクロスしているものの、まだダマシの反発であると考えられます。今週前半に少し戻ったところでポジションを縮小し、26日のジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演後から再度買いで入っていくイメージでしょうか。

タカ派的なスタンスが強まるという見方も多く見られますが、事前予想通り、9月は0.5-0.75%の利上げ、11月と12月も0.5%程度の利上げのニュアンスが伝えられるかもしれません。その場合、株式市場も暗号資産市場も大きく下落しないと思います。

もともと年末までに政策金利が3.5-3.75%程度に達すると予想されていました。11月と12月に政策金利が二段階で0.25%引き上げられたとしても、年末には政策金利が4.0-4.25%に達しますので、十分タカ派路線でしょう。

市場は、今回のジャクソンホールでの講演内容がタカ派路線になることや、2022年末までに政策金利が4%前後に達することを予想していると考えられます。私はポジションを縮小しながらリスクを管理し、下値が2022年の安値を割り込まなくても買いにいくイメージで相場と向き合う予定です。