マネックス証券が2021年10月より掲げている新たなブランドビジョン「大切なものに投資をしよう」には、投資の価値を儲けや利益だけではなく、それぞれの未来や夢を実現させるものへと進化させていきたいという思いが込められています。ブランドビジョンを通じて、自分が生きていく社会と自分が豊かになるように活動を続ける、さまざまな人々の“想い”を発信しています。
今回は、「ブレイキン」というダンス競技で、世界的に活躍しているブレイクダンサー・湯浅亜美(Ami)さんが大切にしている世界観にスポットを当てます。
Amiさんがワールドゲームズ2022で金メダルに輝いたこともある「ブレイキン」は、地面に背中や頭をつけて素早く回転するなど、アクロバティックな動きが特徴のダンスです。「ブレイキン」を踊るダンサーたちはB-boy、B-girlと呼ばれています。
小学1年生の頃に、同じくB-girlとして活躍する姉のAyuさんの影響でダンスを始めたAmiさん。本格的に「ブレイキン」に打ち込むきっかけになったのは、所属するチーム「Good Foot Crew」でお互いに刺激し合える仲間たちと出会えたことでした。
勝ち負けよりも、自分が魅せたいクールな表現にこだわるのがAmiさんのダンススタイル。新競技として「ブレイキン」の追加が正式に決定した2024年パリオリンピックでの活躍に期待がかかります。
では、Amiさんが大切にしているダンスの世界が今後、株式市場にどのような変化をもたらす可能性があるでしょうか、また、どのような企業が注目されるでしょうか。
若者たちに定着したダンスカルチャー
若者たちがストリートで、仲間とクールな音楽に合わせて踊りを楽しむストリートダンスの世界は、やがてダンスのスキルや表現力を競い合うスポーツ競技に発展しました。
2021年1月に始まった、世界初のプロダンスリーグである日本の「D.LEAGUE」もすでに2期目に突入。計11チームが白熱したリーグ戦を行い、会場でのリアルなパフォーマンスやネット配信を通じて、多くの若者たちの支持を集めています。
2012年からは中学校でダンスの授業が必修化され、小学校にも表現運動という科目があります。日本では小・中学校の9年間、生徒がダンスを学ぶ機会があるため、ダンス経験者はすでに2,000万人に達すると言われています。学校の授業だけでは飽き足らない子供たち向けのダンス教室など、ダンスを軸とした教育・フィットネス事業がすでに多数展開されています。
ダンスカルチャーは、若者に人気のSNSの普及とも密接な関係があります。例えば、SNSの「TikTok」が日本で爆発的に普及したきっかけの1つは、若者たちがアップしたダンスのショート動画が“バズった”ことだと言われています。今や「Instagram」や「TikTok」にはダンスの動画投稿があふれ、10代20代の若者たちにとってSNSで楽しむ主要コンテンツになっているようです。
ダンスは、音楽産業やエンターテイメントの世界とも密接な関係があります。また、シューズやウェアなど若者向けファッションとも親和性が高く、アパレル業界にとっても裾野の広い市場になっています。
また、アフリカ系米国人が生み出したラップ音楽や「ヒップポップダンス」と呼ばれるダンスカルチャーが隆盛した背景には、人種差別に対する抗議など、社会的な正義の実現に対する共感や支持が含まれている面もあると言えるでしょう。
最近では、VR(バーチャル・リアリティ)ゴーグルを装着し、ダンスをしながらプレイするVRゲームが開発されるなど、ダンスはゲーム業界やVR関連産業の発展にも活用されています。
今後はメタバース(仮想空間)で自分の分身が世界中のフリークたちとダンスに興じるような、バーチャルなダンス空間やイベントなどが創造される可能性もあるでしょう。
ダンスと“大切なもの”をつなぐ5つの切り口
では、このようなダンスカルチャーの発展や定着によって、世の中にはどのような変化が起こるのでしょうか。ダンスが持つ潜在的な可能性を、前回同様に投資にとって大切な5つの視点に当てはめてみましょう。
市場:
新しい価値観:
成長・発展:
ダンス動画の配信やVRダンスの普及で、SNSやメタバース(仮想空間)の技術や新サービスがますます進化する。
未来を変える力:
ヒップポップ文化の土壌にある反人種差別の訴えなど、社会的課題に対して人々や企業の意識変革につながる。
幸せ・豊かさ:
ダンスを通じた自己表現や他者とのつながりが、人々に喜び、充実感、連帯感を生み出す。
ダンスに結びつく日本、世界の企業とは?
では、ダンスカルチャーの発展・進化に貢献し、ダンスを愛する人々の支持によって成長が見込めるのは、どのような企業でしょうか。
音楽やメディア、教育事業を通じて、ダンスに関連している国内の上場企業としては、以下のような銘柄を挙げることができるでしょう。
・エイベックス(7860)
1990年代に小室哲哉氏などダンスミュージックの大ヒットで急成長。日本発プロダンスリーグ「D.LEAGUE」に所属チームが参戦するほか、国内No.1の受講生を誇るダンス教室「エイベックス・ダンスマスター」を運営
・サイバーエージェント(4751)
ネット広告事業で国内シェアNo.1。ネットTV「ABEMA」では、同社の所属チームも参加する「D.LEAGUE」の大会を配信している
・セントラルスポーツ(4801)
フィットネスクラブ国内大手。キッズ向けのダンススクールを展開。ダンスを取り入れた有酸素運動のライブ配信サービスも手掛ける
上記のようなダンス関連株を株式市場で購入するには、100株単位となるため10万円以上の資金が必要です。ただし、1株単位で少額から購入できる単元未満株で取引できる場合もあります。
ダンスカルチャー発祥の地といえる米国で、ダンサーから支持されるシューズメーカーと言えば、ナイキ(NKE)が最も有名でしょう。
ナイキは1964年創業の新興シューズメーカーでしたが、1980~90年代に活躍したバスケットボールプレイヤー、マイケル・ジョーダン氏とコラボレーションしたバスケットシューズ「エアジョーダン」が大ヒットしました。
そして、それ以降も米国のスポーツ選手や有名ラッパーとのコラボ商品が若者の支持を受け、売上高6兆円に達する世界トップのスポーツ用フットウェア・アパレルブランドに急成長しました。また、ナイキは、多様性とインクルージョンを経営理念に掲げています。
ダンス動画など若者のファッションやカルチャーの発信に利用されるSNS「Instagram」に成長性を感じているなら、同社の親会社で「Facebook」も傘下に持つ、メタ・プラットフォームズ(META)も有望な投資候補と言えるかもしれません。
また、世界中の若者が熱狂するSNS企業に注目するなら、米国市場に上場するETF(上場投資信託)を検討する方法もあります。
米国ETFの「SOCL(グローバルX ソーシャルメディア ETF)、ベンチマークはソラクティブ ソーシャルメディア トータルリターン インデックス」なら、中国のテンセント・ホールディングス(00700)や米国のメタ・プラットフォームズ(META)、ツイッター(TWTR)など名だたる世界のSNS企業にまとめて投資できます。
ダンスを通じて、人々や社会がより豊かで平和になる取り組みを実践している企業に注目することは、投資を始める1つのきっかけや動機になるかもしれません。