東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて続落となりました。44円安の27,955円で寄り付いた日経平均は直後に35円安の27,964円を付けた後下げ幅を広げると取引開始から15分で270円安の27,729円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に持ち直すと10時20分過ぎには132円安の27,867円まで持ち直しました。しかし、前引けにかけて再び下げ幅を広げると232円安の27,767円で前場を終えました。197円安の27,802円でスタートした後場の日経平均は27,800円を挟んで小幅に揉み合うと結局180円安の27,819円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が3.0%安となっています。

2.個別銘柄等

第1四半期決算を発表した出光興産(5019)が3.4%高となりました。資源価格や為替想定を見直したことで原油の在庫評価益が増えるうえ、オーストラリア一般炭スポット価格の見通しを大幅に引き上げたことで石炭事業の収益性が高まることなどから2023年3月期の営業利益の見通しを1900億円から3750億円に上方修正したことで大幅高となりました。また、同じく第1四半期決算を発表したロート製薬(4527)も行動制限緩和による目薬の好調な販売や円安を受けて2023年3月期の営業利益の見通しを280億円から300億円に引き上げたことで14.4%高となり年初来高値を更新しています。上期決算を発表した住友林業(1911)も8.5%高となりました。米国事業で利益率が上向くうえ、開発物件の売却件数が想定より増えることなどから2022年12月期の営業利益の見通しを1185億円から1420億円に上方修正したことで買いを集めました。取引時間中の13時に上期決算を発表した横浜ゴム(5101)も国内で冬に降雪が多く冬用タイヤの販売が伸びたことなどから2022年12月期の営業利益の見通しを585億円から605億円に引き上げたことで7.2%高となり年初来高値を更新しています。

一方で半導体大手の米マイクロン・テクノロジー(MU)が売上高見通しの下方修正に併せて、通期の前工程の設備投資額を大幅に減らす方針を示したことで米アプライドマテリアルズ(AMAT)などの半導体製造装置関連株が昨日の米国市場で大きく下げた流れを受けて日本市場でも東京エレクトロン(8035)やレーザーテック(6920)、SCREENホールディングス(7735)、アドバンテスト(6857)などが安く、東京エレクトロンが2.6%安、レーザーテックが3.5%安、SCREENホールディングスが2.7%安、アドバンテストも3.6%安となりました。トレンドマイクロ(4704)も人件費や外注費が増加したことで上期の営業利益が前年同期比で15.6%減となったことで一時8.3%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は180円安となりました。半導体大手の業績下方修正が続いたことでハイテク株が売られ昨日の米国市場が下落となったことで売りが優勢となりました。こうしたなか日本時間の21時30分に7月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えていることから後場に入り様子見ムードが一段と強まると27,800円近辺で小動きとなり、後場の値幅はわずか47円に止まりました。その米CPIはガソリン価格の下落を受け、総合指数の前年同月比の上昇率がおよそ40年半ぶりの高い伸びとなった6月から鈍化するとみられていますが、変動の大きいエネルギーと食品を除いたコア指数が前年同月比で若干上昇すると予想されていることもありマーケットの反応が注目されます。

なお、決算発表が続いていますが本日も引け後には富士フイルムホールディングス(4901)やホンダ(7267)、日本郵政3社などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)