東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに小幅に反落となりました。日経平均は米国株高を受けて99円高の27,915円で寄り付くと取引開始から10分余りで186円高の28,001円まで上昇しましたが、節目の28,000円をわずかに上回ったところで伸び悩むと10時過ぎに38円高の27,853円まで上げ幅を縮めました。しかし、マイナスになることなく踏み止まると持ち直し129円高の27,944円で前場を終えました。51円高の27,866円でスタートした後場の日経平均は直後にマイナスに転じ14時過ぎに90円安の27,725円まで下落しましたが、その後引けにかけて持ち直すと結局13円安の27,801円で取引を終えています。一方で新興株は高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

第1四半期決算を発表したアドバンテスト(6857)が4.1%高となりました。先端半導体の量産化などで試験装置の好調な引き合いが続くうえ、円安が収益を押し上げることなどもあり通期の営業利益の見通しを1500億円から市場予想を上回る1700億円に上方修正したことや、自社株買いを発表したこともあって大幅高となりました。富士電機(6504)も3.8%高となりました。電力を効率的に制御するパワー半導体が電気自動車や産業分野向けに伸びたことや、データセンターや半導体メーカー向けの施設・電源システムも好調だったことなどから第1四半期の営業利益が前年同期比で86.3%増と大幅な増益となったことを好感した買いが入りました。オリエンタルランド(4661)も入園制限の緩和で第1四半期の営業損益が170億円余りの黒字に転換したことで3.6%高となっています。

一方で第1四半期決算が冴えなかった銘柄に大きく下げるものがみられました。中国・上海のロックダウンの影響でスマートフォン向けの電子部品販売が低迷したことで第1四半期の営業利益が前年同期比で15.7%減となった村田製作所(6981)が一時4.4%安となったほか、通信機器の国内需要が低調だったことなどで第1四半期の営業損益が153億円を超す赤字となったNEC(6701)も7.5%安となりました。原材料価格や物流費の高騰が響き第1四半期の営業利益が前年同期比で14.2%減となった日産(7201)も4.8%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は13円安となりました。米GDPが2四半期連続のマイナス成長となったことで米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの期待が強まり昨日の米国市場が大幅続伸となったことから買いが先行しました。しかし、昨日同様に節目の28,000円を小幅に上回ったところで上値が押さえられるとドル円が一段と円高になったこともあり上げ幅を縮め後場に入って下落に転じました。そのため上値の重さが改めて意識されそうですが、こうしたなかで来週は一段と本格化する決算発表を支えに28,000円を回復できるかがポイントとなりそうです。

なお、本日は決算発表の集中日で引け後にはコマツ(6301)や日立(6501)、ソニーグループ(6758)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、JR東日本(9020)、KDDI(9433)など多くの企業が決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には6月の米個人所得と米個人消費支出(PCE)が発表されるほか、22時45分には7月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が、そして23時には7月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値などが発表される予定です。さらに29日の米国ではプロクター・アンド・ギャンブル(PG)やシェブロン(CVX)などの決算発表が予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)