【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 31,072.61 ▼215.65 (7/18)
NASDAQ: 11,360.05 ▼92.37 (7/18)
1.概況
先週末の米国市場は6月の米小売売上高が市場予想を上回ったことや、ミシガン大学が発表した消費者の期待インフレ率が低下したことを好感した買いが入り大幅高となりました。145ドル高でスタートしたダウ平均は昼前に650ドル高余りまで上昇した後伸び悩みましたが、大きく押すことなく高値圏で堅調に推移すると結局658ドル高の31,288ドルと高値引けとなり6日ぶりに反発となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も201ポイント高の11,452ポイントとなり続伸となりました。
昨日の米国市場はアップル(AAPL)が経済の不確実性に対応するため採用を抑制すると伝わったことで企業業績への警戒感が強まり反落となりました。187ドル高でスタートしたダウ平均は朝方に356ドル高まで上昇しましたが、伸び悩むと上げ幅を縮め午後に入ってマイナスに転じました。取引終盤に305ドル安まで下落したダウ平均は引けにかけてやや戻したものの結局215ドル安の31,072ドルで取引を終え反落となっています。また、ナスダック総合株価指数も92ポイント安の11,360ポイントとなり3日ぶりに反落となりました。
2.経済指標等
先週末に発表された6月の米小売売上高は前月から1.0%増となり市場予想を上回りました。7月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値も51.1と前月から上昇し市場予想を上回ったほか、5年先の期待インフレ率は2.8%と前月の3.1%から低下し1年ぶりの低水準となっています。また、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数もプラス11.1と前月から上昇し市場予想を上回りました。5月の米企業在庫も前月比1.4%増となり市場予想を上回っています。一方で6月の米鉱工業生産指数は前月比0.2%低下し市場予想を下回りました。設備稼働率も80.0%と前月から低下し市場予想を下回っています。6月の米輸入物価指数も前月比0.2%上昇に止まり市場予想を下回り、米輸出物価指数も前月比0.7%上昇に止まり市場予想を下回っています。さらに昨日に発表となった7月の全米住宅建設業協会(NAHB)の米住宅市場指数は55と前月から低下し市場予想も下回りました。
3.業種別動向
先週末の業種別S&P500株価指数は11業種全てが上げました。そのなかでも金融が3%を超える上昇となり、ヘルスケアとコミュニケーション・サービスも2%以上上げています。
昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が下げました。そのなかでもヘルスケアが2%を超える下落となったほか、公益事業とコミュニケーション・サービス、不動産、情報技術も1%以上下げています。一方でエネルギーと素材、一般消費財・サービスの3業種が上げ、エネルギーは2%近く上昇しています。
4.個別銘柄動向
先週末の米国市場でダウ平均構成銘柄はプロクター・アンド・ギャンブル(PG)を除く29銘柄が上げました。そのなかでも決算が市場予想を上回ったユナイテッドヘルス・グループ(UNH)が5%を超える上昇となったほか、JPモルガン・チェース(JPM)とアメリカン・エキスプレス(AXP)、ゴールドマン・サックス(GS)も4%以上上げました。セールスフォース(CRM)も4%近く上昇しています。ダウ平均構成銘柄以外では、決算が市場予想を上回ったことでシティーグループ(C)が13%を上回る上昇となりました。また、主力ハイテク株が高く、なかでも動画配信のネットフリックス(NFLX)が8%余り上げ、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(META)も4%を超える上昇となっています。画像検索・共有サービスのピンタレスト(PINS)も物言う株主で知られる米投資ファンドが大量に株式を取得したと伝わったことで16%余り上げています。
昨日の米国市場でダウ平均構成銘柄では市場予想を上回る決算を発表したゴールドマン・サックス(GS)が2%以上上げたほか、ダウ(DOW)も2%近く上昇しました。一方でメルク(MRK)とジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、アップルが2%以上下げ、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)とアムジェン(AMGN)も2%近く下落しています。ダウ平均構成銘柄以外では暗号資産のビットコイン価格の上昇を受けて暗号資産交換業者のコインベース・グローバル(COIN)が9%余り上げています。
5.為替・金利等
先週末の長期金利は米ミシガン大学が発表した消費者の期待インフレ率が前月から低下したことから0.04%低い2.92%となりました。また、昨日の長期金利は0.06%高い2.98%となっています。ドル円は138円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
米国市場でダウ平均が先週末と昨日の2日間トータルで442ドル高となっていることから本日の日本市場は上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の27,000円を試すような動きをみせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)