【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 30,967.82 ▼129.44 (7/5)
NASDAQ: 11,322.24 △194.39 (7/5)
1.概況
米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均は景気後退の予兆とされる10年債利回りが2年債利回りを下回る逆イールドが発生するなか景気後退懸念から景気敏感株を中心に売りが出て反落となりましたが、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数は長期金利の低下を受けてハイテク株に買いが入り続伸となりました。194ドル安でスタートしたダウ平均は欧州株安の流れを受けて昼前に742ドル安まで下落しましたが、午後に入って大きく持ち直すと結局129ドル安の30,967ドルで取引を終えています。一方でS&P500株価指数が6ポイント高の3,831ポイントとなったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も194ポイント高の11,322ポイントとなっています。
2.経済指標等
5月の米製造業受注は前月比1.6%増となり市場予想を上回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が下げ、エネルギーが4%安となったほか、公益事業も3%を超える下落となりました。素材も2%安となり、資本財・サービスも1%以上下げています。一方で3業種が上げ、コミュニケーション・サービスと一般消費財・サービスが2%を超える上昇となり、情報技術も1%以上上げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄ではシェブロン(CVX)とキャタピラー(CAT)、IBM(IBM)、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)、トラベラーズ(TRV)が2%を超える下落となりました。一方でナイキ(NKE)が3%余り上げ、セールスフォース(CRM)も2%以上上昇しています。
ダウ平均構成銘柄以外では主力ハイテク株の上昇が目立ちフェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(META)が5%余り上げ、グーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)も4%以上上昇しました。アマゾン・ドット・コム(AMZN)と動画配信のネットフリックス(NFLX)も3%以上上げています。半導体株も高くマイクロン・テクノロジー(MU)が5%を超える上昇となり、エヌビディア(NVDA)も3%高となっています。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)とクアルコム(QCOM)も2%前後の上昇となっています。
オランダの半導体製造装置大手のASML(ASML)は米政府がオランダ政府に対しASMLが特定の紫外線露光装置を中国企業に販売するのを禁止するよう働きかけていると伝わったことで4%近く下げました。
5.為替・金利等
長期金利は景気後退懸念から相対的に安全資産とされる米国債に買いが入り0.07%低い2.81%となりました。一方で金融政策の影響を受けやすい中期債利回りの低下幅は相対的に小さく、2年債利回りが2.82%となったことで逆イールドが発生しています。ドル円は135円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国市場が高安まちまちとなり新たな買い材料になりにくいことから軟調なスタートが予想されます。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表を控え様子見となりやすいなかで日経平均が下げ渋り底堅さをみせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)