【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 30,775.43  ▼253.88 (6/30)
NASDAQ: 11,028.74  ▼149.16 (6/30)

1.概況

米国市場は個人消費支出(PCE)で消費の伸びが鈍化したことで景気の減速懸念が強まり下落となりました。239ドル安でスタートしたダウ平均は朝方に597ドル安まで下落した後昼前に49ドル安まで持ち直しましたが、戻し切れないと取引終盤に再び下げ幅を広げ結局253ドル安の30,775ドルで取引を終え反落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も149ポイント安の11,028ポイントとなり4日続落となりました。

2.経済指標等

先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比2000件減の23万1000件となりましたが市場予想ほど改善しませんでした。6月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)も56.0と前月から低下し市場予想を下回りました。5月の個人消費支出(PCE)も前月比0.2%増と前月から伸びが鈍化し市場予想を下回りました。また、個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比6.3%上昇と前月から伸びが横ばいとなり市場予想を下回りました。米個人所得は前月比0.5%増となり市場予想と一致しています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が下げ、エネルギーが2%安となったほか、コミュニケーション・サービスと一般消費財・サービス、情報技術、素材も1%以上下落しました。一方で公益事業と資本財・サービス、不動産の3業種が上げ、公益事業は1%余り上昇しています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄では決算が大幅な減益となったウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)が7%以上下げ下落率トップとなったほか、セールスフォース(CRM)も3%を超える下落となりました。キャタピラー(CAT)とJPモルガン・チェース(JPM)、ゴールドマン・サックス(GS)も2%以上下げ、アップル(AAPL)も2%近く下落しています。一方でトラベラーズ(TRV)が2%高となり、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)も1%以上上げています。

ダウ平均構成銘柄以外では、暗号資産のビットコインの大幅下落を受けて暗号資産交換業者のコインベース(COIN)が5%を超える下落となり、ビットコイン取引を手掛ける決済サービスのブロック(SQ)も3%以上下げています。高級家具販売のRH(RH)も通期の業績予想を下方修正したことで10%を上回る下落となっています。また、取引終了後に決算を発表した半導体メモリーのマイクロン・テクノロジー(MU)は6-8月期の業績見通しが市場予想を下回ったことから時間外で一段安となっています。

5.為替・金利等

長期金利は消費の伸び鈍化を受けて0.08%低い3.01%となりました。ドル円は135円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は昨日の大幅な下げで米国市場の下落をある程度織り込んでいることもあり小動きでのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が自律反発の動きをみせるかがポイントとなりそうです。また、本日は寄り付き前の8時50分に日銀短観が発表される予定で注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)