東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて5日ぶりに反落となりました。235円安の26,814円で寄り付いた日経平均は取引開始から15分余りで190円安の26,858円まで持ち直した後下げ幅を広げると9時40分過ぎに362円安の26,687円まで下落しました。その後10時30分過ぎに224円安の26,824円まで戻しましたが、前引けにかけてやや下げ幅を広げると289円安の26,759円で前場を終えました。
324円安の26,725円でスタートした後場の日経平均は12時40分前に350円安の26,699円まで下落した後14時50分に232円安の26,817円まで戻すと結局244円安の26,804円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
ドラッグストア「スギ薬局」を展開するスギホールディングス(7649)が8.9%高となりました。第1四半期の営業利益は4月に薬価や調剤報酬が大幅に引き下げられた影響を受けたことなどで前年同期を下回る水準となりましたが、自己株式を除く発行済株式総数の2.43%にあたる150万株と100億円を上限とする自社株買いを発表したことで株式需給の改善を期待した買いが入りました。
アスクル(2678)も8.2%高となりました。主力分野のBtoB事業が好調だったことや、個人向け通販のLOHACOもZホールディングスと連携した販促効果により大きく伸びたことなどから6月の単体売上高が前年同月比で6.6%増となり3ヶ月ぶりにプラスに転じたことが好感されました。東京電力ホールディングス(9501)も5.3%高となり年初来高値を更新しました。岸田首相が記者会見で電力の逼迫に対し、供給力の確保に向けて最大限、原子力を活用すると発言したことで原発再稼働を期待した買いを集めました。
電源開発(9513)も一時6.6%高となり年初来高値を更新しました。日本卸電力取引所(JEPX)のスポット取引価格上昇の恩恵を受ける可能性がある銘柄として国内大手証券が取り上げたことが材料視されました。南海電気鉄道(9044)も一時3.6%高となり年初来高値を更新しました。2025年3月期までに大阪・難波に約300億円投資し、オフィス開発などを加速させると伝わったことで将来の収益貢献を期待した買いが入りました。
一方で漬物製造大手のピックルスコーポレーション(2925)が一時9.0%安となり年初来安値を更新しました。新型コロナウイルス感染対策の緩和を受け巣ごもり需要が落ち着いたことで内食需要が落ち込んだことや、原材料価格の高騰による食料品値上げの影響で節約志向が強まった影響もあり第1四半期の営業利益が前年同期比で49.3%減と大幅な減益となったことが嫌気されました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は244円安となりました。米消費者信頼感指数の悪化を嫌気して昨日の米国市場が続落となったことで売りが優勢となり、下げ幅をやや広げ昨日に回復した節目の27,000円を割り込み25日移動平均線(26,989円)や75日移動平均線(26,910円)も下回りました。しかし、5日移動平均線(26,677円)を前に下げ渋ったこともあって昨日までの4日間で900円近く上げた地合いは大きく崩れていないとみることができそうで、明日以降の切り返しに期待したいところです。
なお、日本時間の21時30分には1-3月期の米実質国内総生産(GDP)確定値が発表されるほか、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長やラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁などが参加するパネル討議も予定されています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)